「少なくとも一人は女の子」を確認する二つの方法

 前記事の続きです。今までの問題と殆ど同じですが、少し表現を変えてみた次の問題を考えてみてください。簡単です。

 問題A

 少なくとも一人は女の子である二人きょぅだいのうち、二人とも女の子であるきょうだいの確率はいくつでしょうか。なお、男と女の確率は同じとします。

 問題Aは、明確にペア(二人きょうだい)に関する条件付確率を尋ねています。殆どの人が1/3と答えると思います。

 では、次の問題は、どうでしょうか。

 問題B

 二人きょうだいのどちらかの子が女の子であった場合、もう一人も女の子である確率はいくつでしょうか。なお、男と女の確率は同じとします。

 問題Bは、明確に子(個人)に関する条件付確率を尋ねています。1/2ですね。

この違いを下図に示します。

 では、前記事の【追記】で触れた次の問題Cは、どちらを尋ねているのでしょうか。

問題C

 隣に家族が越してきました。その家族のお母さんが挨拶にきて子供が二人いて、少なくとも一人は女の子であると言いました。もう一人も女の子である確率はいくつでしょうか。

 どちらとも解釈できる曖昧さがありますが、【追記】で述べたように、お母さんは一組の2人きょうだいに対応して一人いますので、お母さんの発言は、ペア(きょうだい)についてのものだと解釈するのが妥当だと思います。この状況が400回あれば、姉妹、姉弟、兄妹、兄弟の兄弟のお母さんである状況はそれぞれ100回ずつで、少なくとも一人が女の子のきょうだいのお母さんである状況は300回です。そのうち二人とも女の子は100回です。

 しかし、前記事のコイン投げの問題2では判断が付きません。

問題2

 見分けのつかない2枚のコインがあります。そのコインには表・裏があります。この2枚のコインを、見えないように両手でよく振って、布の下に2枚とも見えないように置きます。

 別の人に布の下を確認してもらったら、「少なくとも1枚は表である」といいました。

 その後、布をめくったとき、2枚とも表を向いている確率はいくつでしょうか?

 前記事の【追記】で記載したように、コイン投げを400回行えば、〇〇、〇×、×〇、××が100回ずつになります。別の人が2枚のコインを見たのなら、「少なくとも1枚は表である」と言えるのは300回です。しかし、1枚だけ見たのなら、〇×と×〇では50回しか言えませんので、200回しか言えません。この違いが曖昧なので混乱します。

 ただ、現実的な場面を考えれば、「少なくとも一人は女の子です」と、知っていることを出し惜しみするお母さんは相当な変人です。「上の子は女の子でピアノを習っています」のような会話が普通です。この場合は、二人とも女の子の確率は1/2です。直観的に、殆どの人が1/2と答えるのは、このようなことも関係しているのかもしれません。