「眠り姫問題」関連の記事をいくつか書きました。途中で微妙に意見が変わったりしたので、一旦ここで自分の意見をまとめました。
記憶が無くなる気持ち悪い設定やら、意思決定問題だとか人間原理みたいな要素をきれいさっぱりそぎ落とし、確率計算に必要な情報だけにすると単純です。
問1:「いまは日曜日、実験開始直前である。コイン表 である確率は?」
問2:「さあ、あなたは目覚めた。コイン表である確率は?」
問3:「さあ、あなたは目覚めた。今は月曜日である。コイン表である確率は?」
答1: 問題条件より、1/2
答2: A/(A+C+D)
答3: A/(A+C)
「眠り姫問題」は、確率が変わる状況の違いを分かりにくくしているところが、「2人きょうだい問題」や「モンティホール問題」と似ています。
問1: 近所に引っ越してきた一家には子供が2人います。
奥さんに「女の子はいますか?」と訊いたら、「おります」という返事でした。
もう1人が女の子である確率はいくらですか?
問2: 近所に引っ越してきた一家には子供が2人います。
奥さんが女の子を一人連れて挨拶に来ました。もう1人が女の子である確率はいくらですか?
答1: (姉妹)/(姉妹+姉弟+兄妹)
答2:(姉妹の姉+姉妹の妹)/(姉妹の姉+姉妹の妹+姉弟の姉+兄妹の妹)
「2人きょうだい問題」では、姉妹、姉弟、兄妹、兄弟の可能性は同等だし、姉妹の姉、姉妹の妹、姉弟の姉、兄妹の妹も同等(同様に確からしい)であることに異論を唱える人は多分いません。統計で確かめることもできます。しかし、「眠り姫問題」ではA、B、C、Dが同等かどうかで意見の一致を見ないわけです。これはもはや数学の確率の議論ではありませんね。数学では「同様に確からしい」につては言及しませんから。
私は、上記のA,B,C,Dはすべて同等と考えますので、問2は1/3、問3は1/2になると思いますが、A=1/2、B=0、C=D=1/4と考える人もいて、その場合の問2は1/2、問3は2/3になります。1/3や2/3に引っかかる人も多いですが、前提のA,B,C,Dをそうなるように自分で仮定したのだから認めるか、自分の仮定が誤りだったと認めるしかないでしょう。私は問2の1/3に当初、違和感がありましたが、今はなくなりました。
紛糾しているのは、問題文に述べられている非現実的な状況の解釈です。それによって、A,B,C,Dの比率が変わってきますが、そこは数学の問題ではないので平行線でしょう。「二人きょうだいの問題」のように、統計や実験で確かめられる現実的なバージョンをいくつか作ってみましたが、それは「眠り姫問題」とは違うと言われてしまえばどうしようもありません。納得しない人はしないでしょう。例え話をしても「それは話が違う」と言われるようなものです。そう意味であいまいな問題だと思います。
(追記3/15午後)
1/3派の私が考える、A=1/2、B=0、C=D=1/4の状況は次のようになります。
表が出たら月曜日に質問する。
裏が出たら、もう一度コインを投げ表が出たら月曜日に起こして質問し、火曜日には起こさない。2投目のコインも裏ならば、月曜日には起こさず火曜日に起こして質問する。質問は一投目の表の確率である。
1/2派の人に尋ねたいのは、上記の場合のA,B,C,Dをどのように考えるのかです。