- 結論(多分)
3月15日に「現時点のまとめ」をしました。「1/3」の答えが妥当というものでした。その後、nananana0110さんから貴重なコメントを頂き、「1/3」と「1/2」の両方の解釈が可能なあいまいな問題と思うようになりました。それでも、数日前までは、問題の設定を使うのなら「1/3」と考えるのが自然だと思っていました。しかし、「1/2」と考える人がどのように感じているか、自分の当初の直観で「1/2」と思ったのは何故か、を思いだし、さらに「1/3」に意見を変えた理由を考えてみると「自然」とは感覚的なもので、人によって感じ方が違い、両者に優劣などないというところに落ち着いてきました。どうとでも解釈できるあいまいな問題だという結論です。
- それぞれの解釈
それぞれの解釈をまとめます。まず、前提の確率を考える「出来事」は次の4つです。
①表がでた後の月曜日に寝覚め、質問を受ける。
②表がでた後の火曜日に寝ていて、質問は受けない。
③裏がでた後の月曜日に寝覚め、質問を受ける。
④裏がでた後の火曜日に寝覚め、質問を受ける。
これらが実験中の総ての可能性で、また、これらを同等と考えて、それぞれの確率は「1/4」とします。
「1/2」派は、次のように考えます。問2は「さあ、あなたは目覚めた。表 である確率は?」であり、「さあ、あなたは目覚めた」は単なる今の状態を述べているだけで、条件ではないのだから、
(①+②)÷(①+②+③+④)=1/2
である。つまり事前確率を尋ねられたと解釈します。
これに対して、「1/3」派は、問2は「さあ、あなたは目覚めた。表 である確率は?」であり、目覚めた状態での確率を尋ねているのだから、
①÷(①+③+④)=1/3
である。つまり、目覚めたという条件付き確率を尋ねられたと解釈します。
では、問3「さあ、あなたは目覚めた。今は月曜日である。表である確率は?」については、各派はどのように考えるでしょうか。
「1/2」派は、問2の「さあ、あなたは目覚めた」が確率を出す条件とは考えずに単なる今の状態を述べているだけと考えたのですから、問3も同じように事前確率を問われていると解釈して、
(①+②)÷(①+②+③+④)=1/2
と答えるのが首尾一貫します。これでなんの問題もパラドックスも生じません。
これに対して「1/3」派は、月曜日という条件付き確率を尋ねられたと解釈し、
①÷(①+③)=1/2
と答えます。「1/2」派と考え方は違いますが、結果は同じです。なお、「眠り姫問題」ではたまたま同じだけで、一般的には違ってきます。
また仮に「1/2」派が、問23は条件付き確率と解釈しても、一貫性に欠けますが、違う質問ですから別にいいでしょう。
なにもパラドックスはないのにあるように感じるのは、何故でしょう。私の場合は、問2を事前確率と解釈して(自覚はなかったが)1/2としたのに、
①÷(①+③+④)=1/2
だと勘違いしていました。これだと①は1/2となって、問3の答えが2/3になるのでパラドクスめいてきます。この勘違いが起こるのは②は最初から存在しないような気がするからです。意識がない姫は存在しないと考えてしまうわけです。同時に「目覚め」も条件とは感じなくなります。目覚めている状態しか存在しないわけですから。
私はよく知りませんが、公理論的確率論では、①~④の確率を1/4としなければならない理由はないようです。①=1/2、②=0、③=④=1/4 としても構いません。ただし、それは私たちが住む現実世界とは違い、眠ると存在が消えてしまう想像上の異世界なので、月曜日という条件付き確率は2/3になります。
勘違いしなければ、どのように解釈してもパラドクスにはなりません。勘違いのパラドクスを解決するため、難解(アドホック)な理屈が考えられているようですが、そんな必要はないと思います。
- 眠っているという条件付き確率
眠っているという条件付き確率もありますが、残念なことに、眠っている眠り姫に質問はできません。そこで、夢の中に侵入して質問するSFっぽいことを考えたりしましたが、実験前に次のような質問をすればほぼ同じことができます。
問4「さあ、これから実験を行う。実験中、あなたが眠っている時に表である確率は?」
また、次の質問も考えられます。
問5「さあ、これから実験を行う。実験中、あなたが寝覚めている時に表である確率は?」
これと、実験中に行う次の質問は同じでしょうか、違うでしょうか。
問2「さあ、あなたは目覚めた。表 である確率は?」
(4/3 追記)
条件付確率の問題であることを明確にする設定はないかと考えていたら、遅読猫さんのブログに書いてありました。(今は消えていますが)
最初にコイン投げを録画しておいて、寝覚めた眠り姫に録画のコインの表の確率を尋ねるというものです。賭けバージョンと同じですが、こちらの方が問題文としてスッキリしています。「表の録画は1回、裏の録画は2回見せられるので・・・」と考えやすいです。