4月8日の築地市場改修案があまりに低レベルで批判が殺到したためか,第8回市場問題PT資料の築地市場改修案は,あちこち手が入れられているようだ。しかし,事業予算(案)は修正されていなかった。そして,つぎのような説明が加えられている。
工事費用は、①移転費用、②解体費用、③新築費用、④リニューアル費用に分けて積算している。新築費用は坪単価 120 万円を見込んでいる。
坪単価 120 万円は、京都市中央市場施設整備基本計画の 110 万円/坪、福岡市新青果市場の 70 万円/坪、札幌市中央卸売市場の 77 万円/坪と比べても、また、豊洲市場の契約時における卸売市場以外の建物の坪単価、超高層オフィスビル 115〜132 万円/坪、高級ホテル138.6 万円〜/坪、大型物流センターで 59.4〜82.5 万円/坪であり、その後建設工事費が 2〜3 割高騰していることを考慮に入れても、十分な単価設定である。しかし、豊洲市場の建設坪単価、5 街区 171.6 万円/坪、6 街区 165 万円/坪、7 街区 177.2万円/坪、管理棟 217.4 万円/坪に慣れ親しんだ人々からは、「安すぎる、そんな費用ではできない」という声も聞かれる。
この説明は,間違いである。築地改修案の坪単価は120万円ではなく,170万円ほどになる。以前の記事でも指摘したが,事業予算(案)では,解体される仮設施設などを除いた最終的に残る床面積は141,150㎡にしかならない。(下図 赤囲み部分)現築地市場の延べ床面積は約28haなので,半減である。豊洲の27%である。この面積で734億を割れば,52万円/㎡(170万円/坪)となり,豊洲市場とほぼ同じである。120万円/坪とは,事業予算(案)の新築のみの単価であり,仮設建物の建築・解体や移転費用は入っていない。石綿除去,土壌汚染対策,文化財調査費用も入れればさらに高くなるだろう。安普請の建物しかできないにもかかわらず,使いながらローリング計画では豊洲市場並みかそれ以上の単価になる。これは私が主張しているのではなく,報告書素案に記載されている数字から自動的に導き出されることである。
半減しているのは,冷蔵庫施設,福利厚生施設,その他の施設を予算にいれていないためだが,さらに,現状の配置図を見れば,民有の冷蔵施設がかなりあることがわかる。これらの予算は民間負担だが,使用できなければ市場の営業は出来ない。しかし,改修工事の工程計画で考慮された形跡はない。突然,消えてしまっている。
なお,PT報告書素案では,豊洲市場の51haという面積は過大と評価しているが,適正規模については明記していない。また築地改修案でも,最も基本的な情報である延床面積は不明である。読み取れるのは,上記の事業予算(案)の表だけで,そこから計算するしかない。豊洲では過大であると批判しながら,築地改修案では,ぼかしてあるのはなぜだろうか。