「環境基準の7万5千倍」の怪

平田座長の地上と地下−地上は安全の欺瞞

 盛土無で計算すると基準の75,272倍にも達するそうです。どんな計算をしたのでしょうか。この分野は私も素人ですが,専門家会議の資料を元に過去に試算してみて記事を書きました。地下水のベンゼン濃度が環境基準の100倍の1mg/Lでも,その上の空気中ベンゼン濃度は,盛土厚さが50センチでも環境基準以下,100センチだと半分以下になりました。実際には盛土ではなくてコンクリート床があるので,もっと少なくなります。とても,7万倍なんて数字にはなりません。

豊洲市場の食の安全?

 一体,どんな計算をしたのか気になりますが,セルフまとめのどこにも説明がないので勝手に考えました。可能性としては,全く土壌もコンクリートもなく,汚染地下水がむき出し状態の場合の計算をしたのかもしれません。この場合は,専門家会議の資料の揮発係数を求める式(2)の「不飽和帯における有効拡散係数」を「気相中の拡散係数」に置き換えればよさそうです。450センチの盛土が450センチの空気に置き換わります。地上の風速0.625cm/s,大気混成域の高さ200cm,地下水までの深さ450cm,地下水プルーム幅4500cm,ベンゼンのヘンリー定数 0.227,ベンゼンの気相中の拡散係数0.088,地下水中ベンゼン濃度C(mg/L) の場合,地上空気中濃度は,次のように簡単になります。

 地上空気中濃度(mg/㎥)=1.59C

 地下水中ベンゼン濃度が環境基準の100倍の1mg/Lでは,地上空気中濃度1.59mg/㎥ですので,大気中環境基準 3μg/㎥の530倍です。530倍は大きい値ですが,7万5千倍には全然届きません。

 次の可能性として,式(2)において,有効拡散係数を空気中の拡散係数ではなくて,無限大としたのかもしれません。この場合,揮発係数は,(ベンゼンのヘンリー係数)×1000=227,地下水中濃度1mg/Lの場合の空地中濃度は,227mg/㎥となって,環境基準の7万5千倍程度です。多分,これですね。

 豊洲市場築地市場関連では,11,420億円の赤字とか,730億円の改修費用とか,平米1.5トンの床荷重だとか突拍子のない数字が目白押しです。