やりやすそうに感じると失敗が増える?

[NATROMの日記]
「血管を浮かび上がらせる医療機器」は静脈穿刺の役に立つか?
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20140922

 NATROMさんのブログにもコメントしたのですが,私は静脈が細いので,看護師さんが静脈穿刺に苦労することがあります。苦労するのは静脈が細いためで,静脈が見えないからではありません。それにも拘わらず,静脈がはっきり見えれば針を刺しやすい様に私を含む多くの人が感じるのは何故なのでしょうか。

 仮に肌が真っ黒で全く見えない血管が見えるようになるのなら,刺しやすくなるのは間違いありません。しかし,うっすらと細く見えていたものが,くっきりと太くみえたからといって失敗が減るとは思えません。むしろ,実際の血管の太さは変わらないのに,くっきりと太く見えたなら,少々中心を外しても良いように勘違いをして失敗が増えそうな気もします。逆にうっすらと細く見える方が,刺せる範囲が狭くなって刺しにくく感じるとしても失敗は少なそうです。

 ここまで書いてきて,冒頭の私の疑問も的外れであることに気づきました。「静脈がはっきり見えれば針を刺しやすい様に感じる」のは多分間違いありません。だから,何故なのかと問うのは的外れです。しかし「刺しやすい様に感じれば,失敗も減る」とは限りません。従って,疑問は「刺しやすい様に感じると,失敗も減るように感じるのは何故か」と言うべきでした。私が的外れをしでかしたのは,私自身が「刺しやすい様に感じる」ことと「現実に失敗が減る」ことの区別を明確に意識していなかったからでしょう。

 さて,修正した疑問の答えは,次の様になるかと思います。

 やりやすいように感じる場合の多くが実際にもやりやすい。従って失敗が少ないという経験をしているため,失敗も減るように感じる。しかし,実際のやりやすさは変わらないのに,やりやすくなったように感じる場合がある。その場合は失敗は変わらなかったり増えることになり,静脈穿刺もその例である。

 多分,他にもやりやすそうに感じて失敗が増える例がありそうな気がします。残念ながら具体的な実例が頭に浮かびません。ただ,「自分の憶測や信念を事実と思い込んでしまうこと」と一般化した実例なら前のエントリーに書いたばかりです。