既得権

橘玲 公式サイト 労働組合は身分差別社会が大好き 週刊プレイボーイ連載(137)
http://www.tachibana-akira.com/2014/03/6298

 労働者派遣法改正を右往左往を繰り返すのは、この国の既得権層が理想を拒絶し、居心地のいい身分差別社会を守ろうとあがいているからなのです。

 昔から釈然としない疑問があって,共産主義社会での労働者という呼称です。労働者は資本家と対になっていて,資本主義社会では意味を持ちますが,資本家の存在しない共産主義社会で労働者と呼ぶのは妙ですよね。まあ,歴史的用語が残っているだけの事かもしれませんが,それだけではないような「感じ」がつきまとっていました。闘う敵としての資本家も存在してくれなくては困るとでもいうような。

 私が知っていた労働組合は,「当局」を殲滅すべしなんて革命的なことは全く考えておらず,要求を突き付ける相手として当局を必要としていました。プロ野球選手と球団のような共存関係と言ったらよいでしょうか。いや,少し違います。プロ野球選手の場合は,特定の球団に縛られてはおらず,他の球団への移籍も普通ですが,労働組合員は所属組織からの移籍なぞ微塵も考えていませんでした。

 労働力の流動化の進んだ欧米では職種別組合が多く,一般の労働者もプロ野球選手のような立場らしいですが,日本の労働組合は殆ど企業内組合であって,移籍は論外,終身雇用制度前提と考えているようでした。これは,親に依存した子供が親と喧嘩しているような趣があります。親に依存した子供は居心地の良い被保護者の身分を守ろうとあがいているように見えないこともありません。