豊洲市場の地下水の一部から環境基準の79倍の濃度のベンゼンが検出されましたが,地下水を環境基準以下にするというのは東京都の勝手な自主規制です。専門家会議の資料では,79倍どころか,110倍の地下水が敷地全面に存在しても,地上の室内空気中のベンゼンは大気環境基準の半分以下となっています。実際には,79倍が検出されたのは1か所で,平均すれば11倍程度で排水基準並みです。飛びぬけている79倍を除いて平均すると,2倍程度に下がってしまいます。
人が活動し,食品を扱う場所では全く問題なく,法令の規制を大幅に上回る過剰な自主規制ですが,約束は約束だから,施設は使わないというのはどうなんでしょうか。施設整備のために3,900億円を投じています。実際の安全性には全く問題ないのに,手続きに不備があるからといってそれを無駄にするわけです。他の件で行政がそんなことをすれば,杓子定規な石頭行政と叩かれ,損害賠償訴訟が起こされそうです。手続きの不備や過剰な約束をした挙句に守れないのはそれはそれで問題でしょうから,それなりの責任を問えば良いと思います。でも,3,900億円をどぶに捨てるのは馬鹿げているし,その責任の方が遥かに重いのじゃないでしょうか。過剰な目標は放射能除染などでも弊害をもたらしていると思います。
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