【築地市場】築地から豊洲へと移転する理由まとめ【豊洲市場】
http://togetter.com/li/1057538
築地移転に反対する人の事情
— 片山惠仁 (@YOSHIMASAKATAYA) 2016年12月9日
24 都は移転に掛かる内装工事等の業者負担分に対して公的融資制度等は用意した
25 多くの仲卸業者さんは債務超過状態に陥っており、公的融資も活用できない
26 24/25の制度的ギャップは、内装のリースなどで解決すべき問題だったが都に配慮欠如
築地移転に反対する人の事情を考えると施設そのもの以上に経営状況に対する東京都市場関係のソフトウエア的配慮が足りなかったように思います。
— 片山惠仁 (@YOSHIMASAKATAYA) 2016年12月9日
しかしこの種の問題は仮にほかの場所に移転したとしても起きた問題で、経営相談なども含めて広く現代の商工業者の問題です。
私は都民ではありませんので,築地市場移転にさほど興味はなく,賛成でも反対でもありませんでした。ただ,地下ピットやら床荷重,あるいは耐震性という建築について言いがかりのような批判に黙っていられなくなりました。しかも,建築エコノミストと称する人が素人っぽい批判をしていることに驚きました。建築に関する変な誤解が広まるのが嫌で,一連の記事を書き始めました。あくまで建築の問題を取り上げ,市場移転という政治問題には極力触れないようにするつもりでした。
しかし,そういう態度は無理があることが分かってきました。ど素人である土壌汚染についてもある程度勉強する必要がありましたし,移転の経緯も調べる必要がでてきました。建築へのクレームは市場移転問題の枝葉末節の現象に過ぎないかもしれないからです。でも,調べてみても,移転反対の理由が今一つすっきりしませんでした。
盛土騒動以前に書かれた豊洲移転に反対する理由は,土壌汚染,交通・物流アクセスが悪い,というものでした。豊洲の施設の設計が分かった後には,施設が使いにくいなどの理由も出てきました。しかし,これらの理由は築地市場の状況と比べると全く不可解でした。いずれも築地の方が酷いからです。別に豊洲が嫌なのではなく,移転自体が嫌な理由がありそうでしたが,明確に説明しているものをなかなか見つけられませんでした。
その理由を明確かつ簡潔に述べてあるのが,上に張り付けた片山惠仁さんのツィートです。豊洲市場に入居したくても,内装工事の負担ができるような経営状態ではないのですね。ならば当然反対します。この事情は,前の記事で書いた既存不適格の耐震性のない建物に住み続ける理由と同じです。引っ越しや改修にはお金が必要です。まえの記事を書いたときは,推測でしかなかったのですが,当たっていました。
改善を嫌がる理由
http://d.hatena.ne.jp/shinzor/20161209/1481272432
この理由では,新しい内装工事の負担が必要な築地での建て替えにも反対になります。ただ,営業しながらの現地建て替えは不可能という結論らしいので,意識することもないのでしょう。
よくある再開発に反対する理由も,新しい環境での経営の不安と,内装工事費負担が出来ないというのが定番です。豊洲市場施設への言いがかりのような批判も新しいものへの不安と考えれば腑に落ちます。豊洲にも欠点はありますが客観的に見て築地より悪いとは思えませんから,新しいという理由ぐらいしかありません。確かに,現状で何とかなっているなら,現状を変えないのが当面は安心です。でも,将来も何とかなるかどうかわかりません。
こういう理由が根にあれば,盛土問題を解決しても,新たな「不備」が見つけ出されるんじゃないでしょうか。既に,耐震性,床荷重,ターレット取り回し,売り場面積と手を変え品を変えでてきています。そのたびに,巻き込まれるお気の毒な人がでます。今までの被害者は,東京都職員,設計事務所,施工業者,東京オリンピック関係者,東京都民・・・,次はだれでしょうか。
でも,この根っこの問題の解決は,個々の仲卸業者さんの経営に関わることなので,簡単じゃありません。リース料も厳しいという仲卸業者さんもいるかもしれません。残念ながら,この種の問題は,淘汰されるのを待つという解決ともいえない結末が多いのではないでしょうか。