なにか素晴らしいものがあるような気がするけど,それは何

ずっと一緒にいたいし、結婚してもいいと思うけど、「結婚したい」ではないと言われたとか何とか
ー あさえ がんばる
http://www.moriasae.com/entry/2016/12/20/165354

去年,亡くなった姉を思い出しました。姉は美味しいものがあるとみんなに「食べてみんしゃい」とやたら進めてきました。みんなにもそのおいしさを伝えたくてたまらないようでした。大変ありがたいのですが,私が好みに合わないので遠慮すると不機嫌になりました。共感は大事だけど,共感願望ってのは煩わしいですね。

 ということで,私の姉とあさえさんは似ているなと感じたのですが,何か違うような気もします。私の姉は食べ物の美味しさを私と共感したいと考え,あさえさんは結婚の重要さを彼と共感したいという点は同じです。「結婚してもいいよ」ではあさえさんが不満だったように,私が「食べてもいいよ」といって無感動に食べても姉は満足しなかったと思います。ここまでは同じなのですが。

 私の姉は私が美味しさを理解できなかったのが不満だったに対して,あさえさんは彼が結婚の重要さを理解できないのが不満です。少々あいまいなのですが,あさえさんのいう結婚の重要さとは結婚生活ではなくて,結婚式とか入籍という儀式や手続きのように思えます。なぜなら,同棲生活は彼も望んでるというかすでにしているようだからです。足りないのは式と入籍ぐらいしかありません。

 妙に引っかかるのは,あさえさんが儀式や手続きの重要さを明確に意識していないようであることです。長文で結婚って大事と思うご自分の気持ちをつらつらと説明されていますが,その点についてなにも触れていませんからね。儀式や手続きの重要さとは実利で,それを望むのは功利的な行為なので,あさましいようで嫌なのかもしれませんが。

 一般に男はというほどの根拠はありませんが,少なくとも私は式や入籍手続きは面倒くさいと感じていました。子供を作って育児するのも責任が重すぎて躊躇がありました。さらに,結婚に伴う親戚づきあいは煩わしくてまっぴらごめんでした。子どもですね。しかし,入籍によっていろんな実利が得られます。納税等で有利になる資格,一方的かつ簡単な離婚を困難にすることによる安定した結婚生活の保証,離婚した場合の慰謝料の権利などです。また,結婚式という儀式は,世間から正式に夫婦と認識され,親戚付き合いや近所のお付き合いが円滑になるというメリットがあります。お付き合いは私的な助け合いにつながり,入籍の公的な助け合いとセットになって,大きな実利をもたらします。

 この実利は,どちらかというと出産,育児の負担のある女性にとって大きいのではないでしょうか。男性の場合は相対的に小さく,煩わしさというデメリットのため,あまり結婚願望が強くないのかもしれません。

 まったくもって,余計なお世話だと我ながら思うのですが,あさえさんは,この実利をはっきり自覚して,彼にその重要さ「お金はだいじだよ」ってはっきり説明すれば,もやもやが晴れるような気がします。でも,なんだかあさましい感じがして憚られるのかもしれません。

 ひょっとして,あさえさんは,そんな実利を求めているのではなく,なにか精神的なことをおっしゃられているのかもしれません。ただ,私にはそれが何であるか全くわかりません。しかし,もしそうであれば,彼が熱意を込めて次のように言えば満足できるはずです。

 「君とこころから結婚したい。家族になりたい。二人だけでロマンチックな結婚式をしよう。」

 その後に続けて,

 「入籍なんて形はどうでもいいんだ」

 ・・・いや,「あんた,なにも分かっていない」となるんじゃないかな