見栄

本当に具合が悪い時にどうやって病院に行ったら良いかわからない
http://www.mikinote.com/entry/byouin-ikenai

まさか、救急車を呼んで病院に行くなんてできませんしねぇ。

そして、いつでも家族や友人が付き添ってくれるというわけでもありません。

本当に具合が悪い時にも、病院に行ける方法がなにかあればいいよね、と思いました。

 無粋なツッコみをすれば,本当に具合が悪い時は救急車でも家族でも友人でも呼ぶべきです。でも,この方がグズグズ悩んでいるのは,本当に具合が悪いかどうか分からないでしょう。「そこまでするのもなあ」ということです。この場合の正解も迷わず誰かを呼ぶことです。しかし,私もそうですがなかなか呼べません。正解がわかっていても出来ません。もし,救急車まで呼んで,結果的に大したことがなかったら,「大げさなやつだ」と思われるのが嫌だからです。

 似た状況に,非常ベルが鳴った時の行動があります。正解は言うまでもなく即避難です。しかし,私もそうですがほとんどの人が誤報を疑い逃げません。「誤報を疑い」という理由はもう少し補足する必要があって,「誤報なのに逃げたら見っともない」という気持ちじゃないかと思います。中には,仕事に命を賭けていて「たとえ火事で命を落とそうとも,仕事をおっぽり出して逃げ出すことなど出来ぬ。人に迷惑はかけられない」という人もいるかもしれません。残念ながら私はそこまでの使命感はなく,仕事をさぼれる機会があれば嬉しい方ですから,使命感や人に迷惑をかけるという理由ではなく,見っともないから逃げないだけです。そもそも,一時,逃げ出したくらいで,人の迷惑になるような大した仕事はしていません。

 実に不合理な行動です。見っともないのが嫌で命を落とすかもしれないのですから,計り知れない見栄っ張りです。でも,そういうものなんだなあ。

 その一方で,くだらない見栄を持たない人たちも結構存在していて,気軽に警察や救急車を呼びつけます。迷惑行為だと批判されますが,こういう人たちは見栄がないので批判されても気にしません。従って,この種の迷惑行為をやめさせるには,もっと実利に影響する方策が必要で,例えば救急車の有料化などがあります。こういう人たちは無料のタクシーとして救急車を利用しているので,有料化すれば問題は解決します。

 ところが,見栄の解決はそれほど単純にはいきません。もし,迷惑を気にして救急車の利用を躊躇しているだけなら,タクシーの利用は問題ないはずです。それも憚るのは何か見っともないというか,スマートなやり方ではないという気持ちがあるんじゃないでしょうか。要するに見栄っ張りってことですが,私もそういう傾向があるので,リンク先のブログ主の気持ちはよくわかるような気がします。

「本当に具合が悪い時にどうやって病院に行ったら良いかわからない」というのは「見っともなくない方法がわからない」なのかと思います。見栄はグズグズの優柔不断になりがちで,そのせいで命を落とすかもしれません。それでも,救急車をタクシー代わりに使うような奴とは思われたくないというエエカッコーシイなんでしょうね。