直感と予防原則

高橋宏船橋市市議会議員とNATROMさんの議論
https://twitter.com/takahirominfuna/status/521848610703417345

 「抗がん剤の二次発がん性というデメリットだけに着目して否定するのならば、自然の食品もほとんど否定しなければならい。しかし、食品にはそれ以上のメリットがあるから誰もが食べている。メリットとデメリットを比較して判断しなければならないのは抗がん剤も同じだ。」

 なんてことをいう人がいるけどね、そんな面倒なことやってる人はあまりいないね。車にひかれそうになって、逃げるメリットとデメリットは、なんて考えていたら間に合わない。危険は本能的に察するもの。自然の食品を食べるのは本能的に安全だと分かっているからで、抗がん剤も本能的に危険だと感じるから否定しいるの。人間は理屈じゃなくて、直感で判断している。それは心理学の実験でも確かめられている。それでうまくいくから人間はそのように進化したと言うじゃないの。メリット、デメリットなんて言うのは、変わり者の科学者や医者ぐらいのものだね。昔から、変わり者は星を眺めて穴に落っこちたり、悠長に考えて逃げ遅れて猛獣のえさになったんだよ。だから社会のマイナーな存在なんじゃないの。世の中のほとんどは、高橋議員みたいな人間なのよ。

 高橋議員も本能的直感で抗がん剤は危険だと感じているんだよ。危険だというデータやら根拠も出しているんだけど、それは変わり者の医者にお付き合いしているだけで、後付けの理屈なのね。最初は直感であって、第一印象が大事なのよ。理屈は後から補強しているだけだよ。

 でもね、変わり者は言うんだな。本能的な判断が役に立つのは経験に裏打ちされた馴染みのある事柄だけだって。自然の食品は大昔から大勢の人間が試してきて、その過程ではふぐにあたった犠牲者も出したりして来たんだと。そうして選別されてきた食べ物を安全だと思っていて、それを本能だと思っているだけだから、抗がん剤のような経験のないものには、本能は通用しないとね。

 でもね、経験のないものは危険だと思っていればいいんだよね。「予防原則」もそう言っているでしょ。第一印象は、「安全」の場合も「危険」の場合も有るんだけど、どちらかというと「危険」と感じることが多いね。それはもっともなことなのだよ。経験してきたものは安全だと実証されたようなものだけど、経験していないものはどうだか分からないんだから。保守的に現状維持していれば安全なのね。

 それでも、変わり者はしつこく反論してくるのよ。保守的に人間の行動を現状維持していれば安全だというのは、人間以外の環境が変わらないという前提によっているんだとね。比較的短い期間の小さな環境の変化だけ見て、変わらないと勘違いしているんだと。まあ、確かにそうかもしれないけどね。昔の文明の多くは環境の変化に対応出来ずに滅びたようなことを歴史でならったような記憶もあるようなないような。でもそんな歴史なんて気の長い話は、今の俺の生活には関係ないね。変わり者は時間の感覚がずれていて、次のようなことも言うのね。

 予防原則は都合の良い現状維持の考え方である。環境が変わらないと言う前提で、新しい事をしなければ新しい危険は生じないように思えるが、人類発祥の時からその態度であったら、文明は生まれず原始状態のままであっただろう。しかし、「予防原則」は原始状態を維持しようとは言わない。都合良く現代の文明だけを維持しようとするのだ。場合によっては少し昔の時代に戻って維持しようする場合もあり、どの時代を支持するかは趣味の問題である。しかも、その趣味を「予防原則」が維持できる保証はない。地球温暖化を始めとする環境問題は現代文明の人間活動が引き起こしたものだ。その現代文明を維持するために現代文明の人間活動を否定する「予防原則」は矛盾をはらんでいる。文明と環境は密接に結びついており、絶えず修正や改革を行わなければ現状維持さえ覚束ないものだ。絶えず走り続けなければ止まっていられない赤の女王仮設のようなものだ。「予防原則」では止まっていることさえ難しいのだ。

 文明だなどと随分大げさなんだよな。それに俺は別に「予防原則」を支持しているわけじゃない。抗がん剤は使いたくないと思っているだけなのよ。抗がん剤についてだけ「分からんことはしない方がよい」と思っているだけで、一般化しているんじゃないよ。だってそうだろ。分からんことは分からん、つまり結果が良いのか悪いのかも分からんのだから、した方が良いのかしない方が良いのかも分からんからね。「予防原則」が変なことは俺だって分かるよ。良いのか悪いのかは本能的直感で判断するって最初から言ってるだろ。「予防原則」も後付け補強理屈の一つに過ぎんのさ。まあ「予防原則」も本能的直感で「分からんことはしない方がよい」と言っているのかもしれけど。

 えっ、抗がん剤の効果と副作用は分からんことではなくて、分かっているって。そうかもしれんが、「分かっている」と言っているのは変わり者の医者だろ。おれは変わり者は信用せんのだよ。かといって、自分で調べる能力もないし、そんな面倒なことはやってられないから、本能的直感で判断するっていっているだろ。そういうことだ。

 でもね。「予防原則」って便利だね。したくないときは、「したら、何が起きるかわからない。」といえば良いし、したいときは「止めたら、何が起きるか分からない。」といえば良いんだ。利用したいときは利用するよ。

・・・妄想です。