エキスパンションジョイント

今川憲英氏が分析する豊洲「地下空間」
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/102400968/

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 地下空間の壁面はL字形擁壁で囲まれている。L字形擁壁と基礎柱が接する隙間は発泡スチロールで埋められている。地下水はこの発泡スチロールの部分から浸透しているのではないかとみている。

 L字形擁壁と基礎柱が鉄筋などで固定されていないことについては、それほど問題視はしていない。ただ、数十年の間に何度かの地震を経験すれば、発泡スチロールのような強度の弱い部分は劣化する。

 そもそも、発泡スチロールは経年劣化しやすい建材だ。メンテナンス計画をしっかり決めておかなければ、地下には地下水が溜まりやすくなってしまうだろう。

 発泡スチロールを使ったほうが、建設コストは安く抑えられる。地下空間の活用を考えるのではなく「モニタリング空間」との立場のため、コストを抑えたかったのだろう。そのため、安普請だ。
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 今川憲英氏は日本を代表する構造家の一人だそうだが、発泡スチロールがエキスパンションジョイントの捨て型枠に過ぎないことをご存じないのだろうか。エキスパンションジョイントとは、構造体を縁切りする隙間のことである。よう壁と建物は一体の構造物ではなく、力を伝えないように計画されている。その隙間は狭く、通常の型枠の組み立ては出来ないので、捨て型枠としている。また、力を伝えないために、潰れやすい発泡スチロールを用いている。劣化もなにも,無くたってかまわない。

 すき間だから水漏れは当然で,止水処理は別に処置しなければならない。ただし豊洲の地下ピットは外部扱いでその必要はない。なにしろ,底板すらなく砕石むき出しの空間だ。まあ,ダダ漏れでは困るだろうが,直接,雨が降りかかるような場所ではない。

 コスト的にも,発泡スチロールをかませず,擁壁を型枠替わりにして建物側のコンクリートを打設した方が安い。材料費だけでも,コンクリートは発泡スチロールより安い。でも,それでは一体化してしまい,エキスパンションジョイントにはならない。

 構造の大家の今川憲英氏には失礼だが,何か勘違いされているのではないだろうか。それとも私が勘違い?