研究不正の状況証拠

STAP現象の検証実験 大隅典子の仙台通信
http://nosumi.exblog.jp/21058482/
文部科学省の研究不正に関するガイドライン(平成18年8月8日付)
ア)本調査は、指摘された当該研究に係る論文や実験・観察ノート、生データ等の各種資料の精査や、関係者のヒアリング、再実験の要請などにより行われる。この際、被告発者の弁明の聴取が行われなければならない。

イ)被告発者が調査委員会から再実験などにより再現性を示すことを求められた場合、あるいは自らの意思によりそれを申し出た場合は、それに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)が調査機関により保障されなければならない。ただし、被告発者により同じ内容の申し出が繰り返して行われた場合において、それが当該事案の引き延ばしを主な目的とすると、調査委員会が判断するときは、当該申し出を認めないことができる。

 被告発者に弁明の機会が与えられなければならないのは当然ですし、再実験が成功すれば研究不正が否定出来るのであれば、再実験が弁明となります。しかし、今回の事件の場合、再実験が成功しても研究不正の嫌疑が晴れるわけではありません。他の論文のコピペや写真の加工が再現成功でなかったことになったりしません。更に実験試料の出所が疑われています。つまり論文に書いたとおりに実験が行われていないと疑われているのですから、論文通りの実験が成功したところで、弁明になりません。

 根拠となる実験をまともに行わずに仮説が確認されたという論文を書いて、仮説が正しかったと後から分かっても、それはたまたまのまぐれあたりにしか過ぎません。そんなまぐれあたりは極めて稀だというのは有るかもしれませんが、逆に、再現に失敗したからといって研究不正があったという決定的証拠にもなりません。要するに、再実験は怪しそうだとか潔白っぽいというような状況証拠に過ぎません。このような状況証拠で罪を判断するのは本筋でないだけでなく、危険です。

 だから、理研も研究不正の調査を再開するわけでしょう。ということは再実験は研究不正の解明とは関係ないと理研も分かっているわけで、じゃあ何のためやっているのかと、いろいろな憶測を引き起こします。