例え話の使い方,読み方 ー ウソだったんだよ,信じて頂戴 ー

難しいことはわからんが再現実験を支持する、という一般市民の方へ
阪大生命機能研究科・近藤滋
http://www.mbsj.jp/admins/committee/ethics/20140704/20140707_comment_kondo.pdf

 例え話は極端な例示で理解を補助するものであって,それですべてを説明するものではありません。そのため,すべてを説明していると勘違いした人からの批判も受けます。ブクマの批判的コメントを見ていきます。

qESstTkj
そりゃわかってるんだが、あまりにも話題が広がりすぎて、もはや再現実験をして「やっぱりなかった」を確認しないと収まりつかないところに来てるんだよね。

 これは批判ではありませんが,私もそんな印象を受けます。つまり,科学的な実験ではなくて,小保方氏に道連れなしで辞めて頂くため,つまり引導を渡すため,また小保方氏支持の政治家や世論を説得するためのパフォーマンスという見方です。既に論文は撤回されていて,論文の実験は信頼できないものと執筆者も認めているのですから,仕切り直しで新しい実験をするのならともかく,論文の実験の検証をする意味は既にありません。
 
 実験の不備は明白で,理研が先延ばしにしているのは論文執筆者の処分です。処分の重さの判断には,意図的な不正か単なるミスなのかが影響しますが,単なるミスだとしても,専門家として論文の信頼性を確保するために当然行うべき手続きがデタラメだったのですから,理研が契約を更新する理由はなくなったと思います。優秀な研究者だと思って雇用したら,殆ど素人だったと分かったのですから。再現実験で意図的な不正か単なるミスなのかの決着は付けられません。にもかかわらず気分で何となく納得する世論があるから無駄な再現検証実験に多くの研究者を付き合わさせたり,費用を投入するのは科学の研究としては大きな損失です。しかし,信じてしまった世論や政治家の説得のため行わざるを得なくなっていて,それも元はと言えば,信じ込ませてしまった理研のせいですが。

tail_y
NASAネッシーではなく、ガリレオと地動説に例えるだけでこの手の例えは崩壊するので悪手。

 逆の意味版も存在する例え話や格言の弱点を突いていますが,どの版が適当かは読み手が判断するしかありません。例え話とはそう言うもの。

wwitzmaster
ワニがネッシーになったいきさつを知りたいという意味では調査して欲しいです。不思議なのは、科学分野の人がないことを前提にして書いている姿勢でしょうか。

 再調査ではワニがネッシーになったいきさつは分かりません。同じトリックを使うとも限りませんし,同じミスや事故が起きる保証もありませんから。再調査で分かるのは再現性のある事柄だけです。トリックがあったかどうかは元の調査を綿密に調べてみないと分かりません。

sin20xx
アホか。存在しない事を証明するという目的もあるんだよ。何れの場合だろうとうやむやというのが一番だめだろ。存在しないという事を明確化したらその上で後の手続きを進めればいい。それとも実験されると困るのか?

 再現出来たと言っているのは小保方氏だけで,他の研究者は協同執筆者でさえ再現に失敗しているのですから,科学の問題はほぼ結論が出ています。従って再現実験とはトリックが使えない状況では小保方氏でも再現できないことを確かめる実験と言うことになります。でも再現出来なかったからといって,論文の実験ではトリックを使ったという証拠にはなりません。論文の実験は単なる間違いであってトリックを使ったのではないという主張を崩す証拠にはなりませんし,論文の実験が間違いであったことは論文撤回ですでに分かっていることです。

viperbjpn
ん。いや、だとしたら、なんで理研は再現実験やってんのかツーことですけど。一般人からの圧力でやってんの?

 そう言うことですが,その原因は一般人に大々的に広報した理研が造りました。

blueboy
本人を参加させる目的は、「本人がやっても作製できないと証明するため」と理研は公式表明している。なのにそれを、「再現を成功させるため」と勘違いしているのが、この人や高橋氏。ああ勘違い。→ http://j.mp/1mZIpQw

 成功させるためであろうと,失敗させるためであろうと無駄な実験だと言うことでしょう。ところで「本人がやっても作製できないと証明するため」は理研の本音かもしれませんが,公式表明してましたっけ。それはともかく,本人以外は再現出来ていないところに,本人が再現してもしなくても何も新しい事が分からないのは前述の通り。

Dryad サイエンス
科学的態度としては「立証できない事柄には沈黙する」が正しいわけで、どんな実験であろうと「実施するのは間違いだ」とは言えないだろう。優先順位の問題として言った方が筋がいいんじゃないかな(´・ω・`)

 優先順位の問題として言っているんじゃないでしょうか。再現実験の予算と人員は別の有意義な研究に使うべきだと。無限の予算と人的資源があるならやっても良いでしょう。

Pokopon
「一般市民の方」はネッシーやすく、サメやすいんで、そこはワニではなくサメにしてほしかった。

 座布団一枚。

yoko-hirom
近藤滋氏の騙しの手口は,存在が怪しいと評価がすでに固まっている『ネッシー』『雪男』に喩えたこと。国民を騙そうとしているのだから非難に値する。

 例え話の宿命です。分かりやすい極端な例示にならざるを得ませんから,評価が固まっているものになってしまいます。それが妥当かどうかは読み手が判断するしかないでしょう。ただ,ねつ造疑惑では,「存在が怪しい」ことは本質的な事ではなく,「論文のおかしな点」が問題です。その点では例え話は的外れでもないでしょう。

legnum science fraud investigate tax
理研の謎システム(捏造者を切るんじゃなく諦めさせようとしてる)の打開策に税金使うのホントすげえよな。マスコミの日頃の行い(イジメに見えてる)の代償でもあるのがまた  

 解雇ではなく,自主的な依願退職してくれれば平和でありがたいというのはどんな組織にもあります。解雇すれば反撃で被害者が増えるのを避けようとしているとか,謎は憶測を呼びます。

snobbishinsomniac
これはさすがにちょっとひどいね。自分の研究が「ネッシーとたいして違わないじゃないか」と言われることがないという自信はどこからくるんだ。

 ネッシーの調査も真っ当な手続きを踏めば問題ありません。論文のおかしな点に着目して欲しいのだけど,例え話ではネッシーに目がいきますね。ネッシーの調査だから駄目なのではなく,おかしな論文の再調査に税金を注ぎ込むのはどうかってことだと思います。

sika2
「一般市民」は「え、ネッシーいるかも知れないし、調べてみる価値あるじゃん」と言いそうだけど。

 興味本位の「一般市民」は言いそうです。ツチノコでもカッパでも。私費でさらに調査や研究を行うのは自由です。ただ税金を使うのははばかられます。
 そんな無駄をせざるを得ないはめになったのは,理研の広報が効果を発揮しすぎて,間違いでしたと理研自身が言っても一般市民に信じてもらえないからとしたら実に馬鹿馬鹿しいですね。ですが,騙した張本人がネタバラシしても,騙された人が信じ込んだままで,ウソだと分かってもらうために四苦八苦するという喜劇は時々ありますね。