環境基準

豊洲市場地下水 「推移見守るべき」専門家会議座長
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161003/k10010715901000.html 
この中で平田座長は「土壌汚染を浄化した場合、地下水の中の汚染物質の濃度が変動しながら低下していくことはよくある現象だ。一時的な上昇で判断するのではなく、今後の推移を見守るべきだ」としています。
そのうえで平田座長は「豊洲市場の地下水は飲用に供することはなく、人体の健康に影響するものではない」と指摘しています。

 豊洲市場地下水の第8回モニタリングで「環境基準を超える」汚染物質が検出されたと報道されました。にもかかわらず、平田座長は「今後の推移を見守るべきだ」とのんびり構えています。なぜでしょうか。この発言を理解するには、環境基準とはどういうものなのか知っている必要があります。環境省のHPでは次のように説明しています。

環境基準 環境省
http://www.env.go.jp/kijun/ 

人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものが環境基準である。
 環境基準は、「維持されることが望ましい基準」であり、行政上の政策目標である。これは、人の健康等を維持するための最低限度としてではなく、より積極的に維持されることが望ましい目標として、その確保を図っていこうとするものである。また、汚染が現在進行していない地域については、少なくとも現状より悪化することとならないように環境基準を設定し、これを維持していくことが望ましいものである。
 また、環境基準は、現に得られる限りの科学的知見を基礎として定められているものであり、常に新しい科学的知見の収集に努め、適切な科学的判断が加えられていかなければならないものである。

 環境基準とは望ましい基準で、罰則もないようです。望ましい基準とは終局的な目標値であって、現状の実態としては基準超の場所が普通に存在しているので、罰則は決められないのでしょう。そうだとしても、新しく作る食品を扱う施設の敷地では基準を守るべきでしょう。ところが、具体的に、地下水の環境基準を見てみると次のようになっています。

地下水の水質汚濁に係る環境基準について 別表及び付表
http://www.env.go.jp/kijun/tikat1.html
砒素 0.01mg/L以下
ベンゼン 0.01mg/L以下

備考
1 基準値は年間平均値とする。ただし、全シアンに係る基準値については 、最高値とする。

 基準値は年間平均値なのでした。ということで、平均を計算してみました。

 8回目モニタリング結果は、ベンゼン0.014mg/L,ひ素0.019mg/Lですので、平成27年11月30日以降の4回の調査の年間平均値を求めてみると、ベンゼンが0.00825mg/L,ひ素が0.00725mg/L です。つまり、正確にはいまのところ、環境基準値以下なのです。

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/press/2016/0929.html

 ただし、次の最終回モニタリングでどうなるかわからないので「今後の推移を見守るべきだ」なのですね。