豊洲盛土騒動では変な指摘が多い

■盛土だと地震で被害?

豊洲“地下空間” がなければ地震で被害…東北大名誉教授が指摘
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160930-00512862-shincho-soci

全国の欠陥住宅や建築物の第三者鑑定機関であるNPO法人「建築Gメンの会」副理事長で、一級建築士の田岡照良氏が言う。

「盛り土の上に建物を作るなんていうのは、豆腐の上に家を建てるようなもの。耐震面を考えれば、地下に基礎となるコンクリートの空間を埋め込んでおくのは、建築の世界では常識です。ましてや、豊洲市場のような大きな建築物であればなおさらです。こんなこと、庶民建築家の私でも知っていることなんですが……」
ならばと話を聞いたのは、土木学会の権威でコンクリート工学が専門の東北大学名誉教授の三浦尚氏である。

「土木の世界では、“盛り土の上に建物を作るな”とよく言われます。新しく土を盛ったところにある建物は、いざ地震が発生するとグラグラと揺さぶられて甚大な被害が発生してしまう。それだけ盛り土は地震に弱いのです。新市場の主要な建物は、盛り土をせずに地下空間を設けたことで、基礎、つまりは本来の地盤に近い深い部分まで構造物が作られたことになる。一般住宅でも、新築の際は予算に余裕があれば、地下室を設けた方が丈夫になります」

 なんだか、変な記事だ。一級建築士の田岡照良氏も土木学会の権威でコンクリート工学が専門の東北大学名誉教授の三浦尚氏も言っていることは全く正しい。でも、そもそも地下ピットがなくても、建物は杭で支える計画だったわけで、盛土で支えるわけではない。それなりに設計しておけば、地下ピットが無くても、地震で被害を受けるということはない。

 鉛直方向の沈下に杭が有効なこととは別に、耐震性という水平方向の揺れに対しても、地下がある方が強いという一般的傾向はある。しかし、機能的に不要な地下を耐震性を高めるために設けるようなことは通常しない。コストが掛かり過ぎるからだ。そのコストを杭や地上の構造の強化に使った方がよい。地下を作るかどうかは耐震性で決めるのではなく、機能的に決めるのが普通である。

■屋外も盛土4.5mはない、確かにそうだが

 なにやら重大なウソを見つけたように書いてあるが、屋外も盛土が4.5mはないことは、私も当初から気づいている。

盛土が足りないと何が問題なのか
http://d.hatena.ne.jp/shinzor/20160911/1473549723

 というか、専門家会議や技術会議の説明資料も最初からそうなっている。舗装の厚さ分だけ盛土厚さは薄くなるのは当たり前だ。もし、4.5m盛土してしまったら、舗装工事で鋤取るという無駄をするか、設計地盤高さをさらに高くしなければならない。盛土が舗装に代わると何か問題があるかというと何もないだろう。同様に、地下ピットに代わっても何も問題ないだろうというのが、当初からの私の見解である。