放射能リテラシー

「被曝回避行動する母」リテラシー高い〜社会心理学者が分析
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1952

 「リテラシー」はよく使われる言葉です。

http://e-words.jp/w/%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC.html
IT用語辞典
 リテラシーとは、言語を用いて読み書きができる能力のこと。識字。転じて、何かの分野や物事に習熟してそれ使いこなすことができる能力。対象となる物事を先頭に加えて「情報リテラシー」「ITリテラシー」「ネットリテラシー」「メディアリテラシー」のように使う。

 使いこなせなければならないので,単に知識が多いだけではリテラシーが高いとは言いません。トンデモ言説界隈では,豊富な知識量が有りながら,内容を理解していない人がいます。いわゆる半可通です。リンク先の調査分析で使われているリテラシーという言葉は「使いこなすことが出来る能力」という意味ではないようです。以下,そう感じた箇所の引用とコメントです。

中でも、つくば市在住の家族は、多くの人が、事故直後に避難行動をとっていた。また、リスク低減活動をしている人は、積極的に情報収集を実践しており、専門家のブログやチェルノブイリ事故に関する情報にアクセスしていることがが分かった。

 専門家のブログやチェルノブイリ事故に関する情報にアクセスしていることは,リテラシーが高いということにはなりませんね。興味や関心が高いというだけで。

被ばく低減活動が低下した背景について、高橋教授は、母親たちが疲弊していることが考えられると説明する。

 疲弊したのかもしれませんが,単に被ばく低減活動は無意味だと分かってきたのかもしれません。単なる推測ですね。

一方、リスク認知も低く、リスク低減活動もしていない層は、子どもがおらず、情報も少ない層が占めており、この層は、「放射能の問題についてできるだけ考えないようする」人の割合が高い特徴があったという。

 「考えないようにする」というのは,随分,否定的な表現です。本当は危険なのに向き合おうとしないという印象を与えていますが,危険を感じないからリスク低減活動をしないだけかもしれません。先入観有りすぎです。

調査にあたった高橋教授は、同調査により、被ばくを心配している母親たちは、政府の主張するような「放射能恐怖症」ではなく、情報と知識量の多い人であることが裏付けられたと説明する。

 これは,そうかもしれません。BISという手法で評価できるような性格的な違いが行動の違いを起こしているとは限りませんからね。ちょっとしたことで行動は変わります。被ばくを気にしていた人が気にしなくなることも,その逆もありますが性格が変わった訳じゃないでしょう。

 この分析は,回避行動が必要な程の被ばくの危険性があるということと,情報を収集すれば被ばくの危険性を客観的に理解できるリテラシーが付くという二つの前提から成り立っています。でも,調査で分かったのは,情報収集する人ほど回避行動をするということだけです。この解釈は色々可能です。

・情報収集する人ほどリテラシーが高くて,必要な回避行動をとる
・情報収集する人ほどリテラシーが低くて,不要な回避行動をとる
リテラシーとは無関係に,不安を感じる人ほど情報収集し,不要か必要か分からないが回避行動をとる。

 リテラシーが高いとは,客観的な被ばくの危険性を把握できることで,それは,社会調査じゃ分かりません。