コンファイドー(ネタばれ注意)

 カート・ヴォネガットの「はい、チーズ」を読みました。半年前に発行されていたのに、今頃気付いて、買い込みました。未発表短編集ということで、1950年代に書かれた古い作品ばかりですが、ヴォネガットらしさは当時からあったのですね。面白かったです。冒頭に掲載されているのが、「耳の中の親友」で、人間の醜悪な本音をあらわにしてしまうコンファイドーという発明品をめぐるお話です。本音が起こす騒動は、古い寓話からドラえもんの本音吸い出しポンプまで沢山出てきますが、その一つですね。

 この話は、SF仕立てになっていますが、実は現代では、コンファイドーは発明されていることに気付きました。ただし、コンファイドーという名前ではなく、インターネットと呼ばれています。責任を問われない匿名便所掲示板では醜悪な本音がゾロゾロ出てきます。あまり向き合いたくない本音で、まともに向き合うのが果たして賢明なのかも、いろいろ難しい面があります。それはともかく、コンファイドーはいずれ発明されるとヴォネガットは予言していました。主人公がコンファイドーを売り出して大儲けすることをあきらめ、土の中に埋めるラストシーンに予言が書かれていました。次のコンファイドーの捨て台詞です。

 「いずれまたな、ゲス野郎。また会おう」