変えるつもりはない

島耕作』作者・弘兼憲史氏「育児に熱心な男は出世しない」
http://www.news-postseven.com/archives/20150124_296280.html

 昔ほどじゃないにしても、まだそういう現実はあるんでしょうね。というか、そんなこと弘兼憲史氏が言わなくても誰だって知っています。ただ、次の例えは疑問です。

たとえ子供の誕生日だとしても会社の重要案件となれば、給料をもらっている以上、やっぱり会社を優先すべきです。子供の誕生日、あるいは子供の運動会程度のことで会議をすっぽかすな、とは言いたい。

 弘兼憲史氏が言っているのは、仕事のやり方も会社の方針に従えということで、仕事の成果のことではありません。会議は仕事のやり方として非常に疑問視されている代表です。私の経験でも殆ど時間の無駄というか、「ちゃんと、みんなに言ったからね」というアリバイ作りみたいな場合が9割です。もちろん例にあげてあるのは「緊急会議」で無駄な会議ではありません。しかし、全員が出る必要があるのかどうかは怪しいです。どうでもよいアリバイ会議は全員出席する必要がありますが、緊急会議はどちらかというと出席者を限定した方が良かったりします。

 イクメンが問題提起しているのは、「仕事のやり方にはいろいろ有るんじゃないの」ということでしょう。フレックスタイムや自宅勤務などでも、仕事の成果はあげられるということで、仕事をサボりたいと言うことではないはずです。仕事をしない代わりに出世もしないでよい、というのではなく、従来の仕事のやり方と違う方法で成果を上げられるなら、イクメンも出世したいんじゃないでしょうか。もちろん、趣味と家庭に生きるので、最低賃金さえ頂ければ良いという人生観もあります。ただ、そういう人は昔からいて特に目新しい問題ではありません。それなりに処遇すればいいだけです。

 イクメンを女性社員に置き換えると問題点がよく見えてきます。女性は結婚出産などがあるので、業務に差しさわりがあります。そのため、会社としてはそもそも採用したくないのです。採用した場合でも重要な仕事はさせたくありません。しかし、今やそのような扱いは出来にくくなっています。先ず、女性でも結婚出産しない人もいますから、女性というだけで扱いを変えるのは明らかに性差別です。次に、実際に結婚出産で十分な仕事が出来なかったのなら性差別にはなりませんが、結婚出産しても十分な仕事を出来るかもしれません。従来の仕事のやり方は男性向きに出来ていますので、今のままでは難しいかもしれませんが、やり方を変えれば可能かもしれず、求められているのはそういう変革だと思うのですけどね。

 治安が悪いという現実のため、護身用の銃携帯が必須の社会があったとします。そして、この状態は望ましくないので、銃を持たないで良い社会にしようという議論が行われていたとします。弘兼憲史氏は、「現実は危険なので、私は銃を持つ」と言っているようなものです。要するに、何も変えるつもりはないといっているだけじゃないかな。