屋根落下の勝手な原因推測

 今回の大雪で、屋根が落下する被害が発生してます。

・格納庫屋根が雪で陥没 自衛隊機など損傷か 防衛省 (神奈川県大和市

http://www.asahi.com/articles/ASG2H6F07G2HUTIL057.html

・雪の重みで…体育館の天井が“全面落下” (埼玉県富士見市
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000021545.html

 過去にも、体育館の屋根は結構落ちています。比較的記憶に新しいのは、夕張市のスイミングセンターで、財政破綻で雪下ろしが出来なかったのが原因でした。昔、学校で聞いた話では雨で落ちたもののあるそうです。大スパンで、梁が撓み、そこに雨水が溜まり、その重みに耐え切れず落下したそうです。その話をした先生は、設計では「力(荷重)」ばかり考えがちであるが、「変形」を考慮することが重要だと言っていました。鉄骨構造で問題になる座屈とは「変形」が「変形」を加速する不安定現象です。「変形」は盲点になりがちです。

 雪に関して言えば、雪下ろしをすれば、設計用積雪深は1mに出来ますので、そのような設計の建物が何らかの事情でメンテナンス出来なくなると危ないわけで、夕張市はその良い例です。メンテナンスも盲点です。

 さて、上記の2例は、共に多雪地域ではなく、設計用積雪深は30cmです。積雪荷重で決まる設計ではないはずです。富士見市の場合は周囲に30cmほど積もっていたそうですが屋根の上にはそれ以上積もっていた可能性もあります。ただ、積雪荷重で部材が決まるような設計ではないはずで、30cmを少々超えていたとしても、落下するとは考えにくく、施工不良、設計ミスの可能性も考えられます。余談ですが、ネット上では手抜き工事のコメントが目立ちます。犯人探しで盛り上がるといういつもの光景です。

 それは、今後の調査に任せるとして、神奈川でも落下していることから、個別の建物の原因ではなく、共通した要因があるかもしれません。あくまで推測ですが、一つ考えられる事があります。

 今回は、雪のあと雨に変わっています。我が家の前には野球のグラウンドがあるのですが、雪の上に雨が振りシャーベット状になり、流れずに池のようになっています。ニュースでも、道路上のシャーベットが排水出来ず漂っている映像を見ました。同じような状態が屋根の上でも発生したのかもしれません。30cm程度の積雪深だと、深さ1cmあたり、2kgw/㎡の荷重しか通常は考えません。これが、シャーベットになると10kgw/㎡と5倍近くになります。このような状態を建築設計では通常考えません。多雪地域でも春先など積雪の上に雨が降ることはありますが、そのような時期には積雪量は既に少なくなっています。それよりも真冬の大雪の荷重の方が問題でしょう。

 雪のあまり降らない地域では、大雪直後に雨になるという事態は考えられることですが、盲点といえば盲点です。単に、施工不良かもしれませんが。