神奈川県立近代美術館鎌倉館と被災者

鎌倉の著名建築物・美術館、閉館し取り壊し!?
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20131119-OYT1T00557.htm

前の記事を書いていて、思い出した。神奈川県立近代美術館鎌倉館が閉館取り壊しの模様。
坂倉準三設計による名建築ということで、保存の声が上がっているが、神奈川県民次第だろう。神奈川県に限らず、全国の自治体は財政難に苦しんでおり、保有施設の統廃合は喫緊の課題。鎌倉館は、鶴岡八幡宮の敷地に建っていて、その賃料が県には重い負担になっているとのこと。契約を更新しなければ、更地にして返還せざるを得ない。

建築物の保存の理由は公共的価値があるからで、自治体が予算使う理由になる。ところが、その自治体が財政難というわけだ。さあ、どうする。

財政難の県の他の支出に優先して賃料を支払う価値があるのか。県民(県)がその価値はないと判断したなら、だれか(鶴岡八幡宮、建築団体、建築愛好家?)が金をだすのか。

難病患者や被災者に対してだって、公共が十分に経済的支援を出来るわけではない。そこで、有志による募金が行われる。しかし、建築物の維持は一過性の募金では済まない。被災者への募金を美術館維持に回すかなんて、考えたくもないことも考えなければならない。

物事には、トレードオフがあり、総合的に判断せざるを得ないという例。しかし、一つの立場からは、その立場からの意見しか出てこない。結局、声の大きさで決まったりする。