モノポリーのバンカーと財務省

モノポリー

 人生ゲームより歴史のあるモノポリーというゲームがあります。私はしたことがありませんが、Wikipediaの説明では次のようなゲームです。

モノポリー(英語:Monopoly)は20世紀初頭にアメリカ合衆国で生まれたボードゲームの一つである。プレイヤーは双六の要領で盤上を周回しながら他プレイヤーと盤上の不動産を取引することにより同一グループを揃え、家やホテルを建設することで他のプレイヤーから高額なレンタル料を徴収して自らの資産を増やし、最終的に他のプレイヤーを全て破産させることを目的とする。

 

■バンカーの役割

 モノポリーではプレイヤーの他にバンカー(銀行役)がいます。バンカーは、ゲームの最初にプレイヤーにお金を配分します。さらに、ゲームの進行中にも配分したり、回収したりします。プレイヤーは互いに、他のプレイヤーを破産させて、自分の資産を増やすために競争しますが、バンカーは争いには加わりません。またプレイヤーは破産(ゲーム離脱)しますが、バンカーは破産しません。ゲームに使うお金をバンカーは提供しますが、不足すれば、そこら辺の紙切れに金額を書き込んでお金としても構いません。

 

■バンカーがプレイヤーになれば

 もし、破産しないバンカーがプレイヤーとして参加すれば、勝つに決まっていますのでゲームにはなりません。ところが、現実の世界では、財務省というバンカーが国民というプレイヤーを破産させてゲームに勝とうとしています。ゲームでは資産を独占して終わりですが、現実の世界では独占した資産を財務省は増やすどころか、維持もできません。なぜなら、財務省はお金を発行するだけで、実物資産を生み出し維持する能力は持たないからです。つまり、ゲームの終わりがこの世の終わりということになるかもしれません。恐ろしいことです。

 

■お金と資産

 モノポリーが人生ゲームより現実に近いのは、お金の独占を目指すのではなく、資産の独占を目指すところで。お金は、そのための媒体に過ぎません。現実の世界でもお金だけ持っていても仕方ありません。例えば食料が無くなれば、飢え死にしてしまいます。食料のような実物資産を生産する能力は必須です。現実世界でも独占を目指す傾向があるようですが、社会全体としては、独占は良くないとされています。ただ、モノポリーはゲームを面白くして決着を付けるためにそうしているわけです。しかし、バンカーもプレイヤーとして参加させては、ゲームとしても面白くもなんともありません

 

■ゲームのバンカーより酷い財務省

 また、バンカーはお金の提供を主体的にコントロールしません。サイコロを振って進んだゲームボード上の指示に従って行うだけです。その結果、資産の独占が行われ、ゲームは終了します。勝者以外のプレイヤーは悲惨ですが、少なくとも、1人の勝者はいます。現実の世界では、ゲームを終わらせることなく、すべての国民が資産を増やすように、お金の提供や回収をコントロールします。それが経済政策です。ところが財務省は、財政黒字を達成するため、お金を回収しすべての国民を破産させようとしており、ゲームを上回る惨状を目指しているんです。さきほど、この世の終わりになるかもしれないと書きましたが、人間はしぶといので振り出しに戻るだけかもしれません。それでも十分すぎる惨状ですけどね。