「眠り姫問題」目撃者バージョン・認知症バージョン

  •  目撃者バージョン

 一人姫のオリジナルバージョンでは、表月、裏月、裏火の3つの状況で眠り姫が体験している客観的状況は全く同等です。ただし、記憶が消えない当たり前の設定では、曜日が分かってしまい、それが月曜日なら、表の確率は1/2と簡単に分かってしまいます。

  それを防ぎ、裏で火曜日の可能性を排除しないために記憶が無くなるという設定にしているのですから、その設定では表の確率は1/3と答えるしかないと思います。しかし、非現実的な設定であるため、違和感があり議論が紛糾するのではないでしょうか。

 非現実性による違和感をなくしたのがひとつ前の記事の4人姫バージョンです。現実的な設定で、裏火の可能性を排除しないようにしていますが、表の確率を推理するために与えられる情報は一人姫バージョンと同じです。

  もう一つ、設定の違和感をなくすために、眠り姫にではなく第三者に質問するバージョンもあります。この場合も眠り姫と第三者(目撃者)に与えられる情報は同じです。

  コインが表なら眠り姫に翌日に1回質問をする。裏なら翌日と翌々日の2回質問する。いつコインが投げられるかは分からない。あなたは、偶然、眠り姫が質問を受けているところを目撃した。コインが表だった確率は?

 記憶がなるなるのは非現実的な設定ですが全く現実にありえないわけでもありません。認知症になると短期記憶が失われます。そのため、10分経つと同じ会話を繰り返すという悪夢のような状況が現実に起こります。さらに記憶以外の知性は健全であったりします。普通は記憶障害の自覚はないのですが、説明すれば理解し、1日だけ覚えているとして、次の問題を作ってみました。

  

短期記憶(1日程度)障害はあるがその他の知性は健全な認知症の治療薬ができた。ただし、服用した日までの記憶は回復せず、服用翌日からの記憶が失われないだけである。また、服用の翌日までに検査で効果が確認できる確率は1/2である。翌日に医師が状況説明と検査を行い効果があったか確認する。ただし、結果は医師しかわからず患者には教えない。患者が効果を自覚するのは翌日以降である。1回目の検査で効果が確認できない場合は翌々日に再度検査する。

問1:1回目か2回目か不明だが医者の検査を受けている患者がいる。1回目の検査で効果があった確率は?

問2:検査中の患者自身は、現在が1回目の検査で効果が確認できた確率がいくらだと考えるか?