■ 前記事の(追記2)の続き
「眠り姫問題」の分かりやすいバージョン(追記あり) - shinzorの日記
の続きを考えていたら長くなったので新しい記事にしました。
今のところの意見は「眠り姫問題」はあいまいな問題じゃないかなと思います。
モンティホール問題でもあいまいな記述がされているものがあります。回答者が選ばなかった残り二つのドアのうち一つを開くと外れですが、外れのドアを選んで司会者が開いたのか、答えを知らずに開いたら外れだったのかで確率は変わります。
このようなあいまいさをなくすために前の記事で分かりやすいバージョンを考えました。前の記事の追記を再掲します。
①1回の実験の後に箱から1枚を抜き出す。箱の中は1枚の赤札か2枚の青札かでそれぞれの確率は1/2なので、赤札を抜き出す確率の期待値は1/2
②多数の実験の後に、札が累積した箱から1枚を抜き出す。箱の中の赤札と青札の割合の期待値は1対2なので、赤札を抜き出すの確率の期待値は1/3。
オリジナル眠り姫問題は、分かりやすいバージョンの①と②のどちらに対応しているのでしょうか。眠り姫が質問を受けるのは1回の実験の最中なので②ではなく、①であるようにも思えますが、①も実験の最中ではなく、実験後に札を抜き出す設定です。実験終了後に目覚まされた眠り姫が「実験は終わった、コインが表だった確率は?」と尋ねられた状況に対応しています。ではどちらでもないのでしょうか。
確かに眠り姫は1回の実験の最中に目覚めて、確率を推定しますが、1回の出来事の確率というのはその出来事が多数行われた場合にその出来事が生じる回数の全体に対する比率です。眠り姫が推定しなければならないのは目覚めた今の状況で表である確率です。1回の実験で裏だった場合には青札は1枚ではなく2枚箱に入れられます。そして1回の目覚めは1枚の札に対応しています。眠り姫問題を②に対応していると考えていけない理由はありません。いけないのならば、1回だけの出来事の確率について別の定義をしなければなりません。
■ 4人眠り姫バージョン
そこで、4人の眠り姫バージョンを考えてみました。このバージョンの眠り姫は眠って記憶を失う必要がないので状況が現実的でモヤモヤ感がなくなります。
実験には4人の姫が参加し、実験開始後は以下のように進む。
実験の進め方はすべて4人の姫に説明する。
コインが表なら姫Aに尋ねる。コインが裏なら姫Cと姫Dに尋ねる。姫Bには尋ねない。もちろんコイン投げの結果も、姫A~Dのいずれかではあるかも教えない。
問1:実験開始前に4人に表が出る確率を尋ねる。
問2:実験開始後に表が出た確率を尋ねる。
(尋ねるのは姫Aかあるいは姫Cと姫Dになる。)
問3:実験開始後にあなたは姫Aか姫Cであると教え、表が出た確率を尋ねる。