「ヒトの目、脅威の進化」(マーク・チャンギ―・ジー)を読みました。知らなかったことがいろいろ書いてあって少し賢くなったと勘違いしましたよ。まだ全部読んでいないのですが、ひとつ気になったことがあったので、取り急ぎ記事にしてみました。
この本には「虹には紫色はない」と書いてあります。しかし虹は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色と子供の頃に教わりました。その外側には赤外線と紫外線があるとも言われますので紫色はないと言われると疑問符が頭上にポップアップします。ただ情けないことに、私はじっくりと虹を見たことはないので「この嘘つきめ」と断じることもできません。
この本には、赤・橙・黄・緑・青・菫が虹に見られる波長の違いによる色で、紫は菫と赤の波長の光を同時に受けた時に人間が感じる色と説明してあります。だから、波長の長さで一直線に並べたスペクトル上には紫はなく、虹の色も波長の順序で並んでいるので紫はないというわけです。一方、人間が感じる色を円環上に並べた場合は赤と菫の間をつなぐために紫がありますが、これは単一の波長の色ではないという説明です。
説明自体に変なところはありませんが、まだモヤモヤするので、他の虹の説明を検索してみると、赤紫は赤と紫の混じったもので虹にはないと説明したものがありました。色を赤、緑、青の原色の比率で平面状に表したCIExy色度図というものがありますが、この図はスペクトル軌跡と純紫軌跡の曲線で囲まれています。スペクトル軌跡上の色は単一の波長の色で純紫軌跡上と曲線の内側の色はいろいろな波長の光が混合した色です。純紫軌跡上の色が赤紫(あるいは紫)になります。
説明の内容は全く同じで、ただ純紫軌跡上の色を紫と呼ぶのか、赤紫と呼ぶのかの違いだけのことですね。藍、菫、紫、赤紫の違いは結構微妙ですので、多分「ヒトの目、脅威の進化」でいう「紫」は日本では「赤紫」なのではないかという気がします。英語では藍がインディゴ、菫がバイオレット、紫がパープルですが、この対応も微妙なので翻訳の問題なのかもしれません。
要するに色覚という感覚的なものの命名には結構なブレがあるということだと思いますただ、一応日本では虹に紫はあるとするのが一般的なので、虹にないのは紫ではなく赤紫と言っておくのが穏当かもしれません。
さて、ここからが問題なのですが、虹の写真(?)をいろいろ見ているとどうも赤紫らしきものがはっきり写っているのもあるのです。一方で菫色で終わっているものもあり、この両者は見た目が全然違います。これはどういうことなんでしょうね。プリズムで分光した写真(?)も同様です。どうも写真のように見えてイラストと合成しているようにも見えます(はっきり「イメージです」と断っているものもある)。私みたいに本物をよく見たことがないイラストレーターが思い込みで書いているんでしょうかね?