イベントコンパニオンのヒールを履く服務規定は女性差別?

 この間,「イベントコンパニオンのヒールを履く服務規定は女性差別?」というツイッターのアンケートをみました。ほぼ三分の一が女性差別という結果でした。意外に多いと驚きました。女性差別に何故なるんでしょうかね?。性差別というのは,根拠がないのに男女間の扱いを変えることですが,イベントコンパニオンは女性だけの仕事なので,扱いを変えようがないと思うんですけど。もちろん服務規定に問題がある可能性はありますよ。でもそれは,差別とは別の労働条件の問題でしょう。仮に差別があるとすれば,イベントコンパニオンという職業の存在自体が差別であるということになります。

 職業自体が差別という場合も2種類考えられます。一つは,屈辱的な仕事を女性だけにやらせているというもので,前々世紀の女給や酌婦を蔑視するような時代はあったかもしれませんが,現代ではアナクロでしょう。いろんな考えの人がいますから,女性アイドルや女優などの女性性を商品化している職業が差別だという主張をする人が現代でもいないとは限りませんけどね。あえてその気持ちを推測すると,そういう職業で女性が人間として扱われずに搾取されてきたという歴史を言っているのかもしれません。でも,現代のコンパニオンが自分の職業をそのように思っているのでしょうかね。もし仮にそう思っているのなら,服務規程の撤廃などと生ぬるい要求じゃなくて,職業からの解放を訴えたほうがいいですね。

 もう一つ別の観点からの差別という主張は,男性だけが接客サービスを受けられるのは不公平で,男性のコンパニオンもいるべきだという考えです。そういう需要があるかどうかわかりませんが,そう思うなら,誰も反対しませんから,事業を始めればいいんじゃないかと思います。ただ,この場合も女性コンパニオンがヒールを履く服務規程の問題とは無関係です。

 ということで,服務規程と性差別は関係ないと思うんですけど,労働条件の問題は残ります。職業病を引き起こすような労働条件はまずいからです。プロレスラーは殴られたり蹴られたりするのが仕事とはいえ,限度というものはあります。プロレスラーが格闘を商品としているように,コンパニオンは女性性を商品としていますから,服装の服務規程があるのは合理的で差別ではありません。しかし,限度があるのは当然です。足に障害が残るようではいけません。

 コンパニオンに女性的な服装を求める服務規程があるのは差別ではありませんが,女性性の必要がない事務職に女性というだけで,服装の規程があるのは差別でしょうね。この区別が出来ない人が,性差別に限らず,一切の違いを認めないという異様に平等で均質な社会を目指しているようで心配なんですよ。私が特別心配性だからじゃないです。なにしろ異様に平等で均質な社会は一部で実現しましたからね。

 一時話題になった、運動会の徒競走でみんな手をつないでコールインがその一例です。競争は順番を付けることが目的でそれで盛り上がるわけですが,なぜか順番を付けることが差別だと考えたようなのですね。順番付けが差別なら、競走を止めるしかありませんが、順番を付けることだけ止めて「競争」を続けるという意味不明な対応をしてしまいました。こういうことも現実に起こるので,男性と区別がつかない格好の女性が接客するという奇妙に平等で公平な時代が訪れないとも限りません。

 次のアンケートをしたら,意外な結果がでるかも。

・女優に演出でヒールを履かせるのは女性差別
・プロレスラーが殴られるのは男性差別
・事務職が運動不足になるデスクワークをさせられるのは職業差別?