管理を求めると、自分も管理される

路面の溝にロードバイクのタイヤ挟まりけが 岡山市に賠償命令

 モヤモヤする判決です。少し検索すると、路面の溝で怖い思いをしたという話が結構見つかります。岡山市だけの道路事情ではないようです。そうは言っても、道路管理者にとっては厳しすぎるのではないかというのが最初に思ったことでした。しかし、考えているうちに、モヤモヤの原因はそれだけではないような気がしてきました。いくつかの視点から思うところを述べます。

■幅2センチの溝

 先ず、気になったのは、問題の溝が幅2センチということです。(削除されましたが、NHKニュースに確か記載されていた。)ロードバイクのタイヤ幅は細いので、これに嵌ってしまうようです。しかし道路が先に存在していて、後から細いタイヤのロードバイクが開発されたわけです。ロードバイクというくらいですから、舗装道路を走るために開発されているはずで、道路に合せて開発するのが筋ではないかと感じるわけです。昔からあるママチャリの類では、特に危険ではないとしたら、ロードバイク特有の問題です。そういう問題にも、道路管理者は対応しなければならないとしたら酷というのが最初に思ったことです。

■スピードの問題

 ただ、ママチャリでもハンドルを取られることもあるそうです。というか、自転車のハンドルを取られることは良くあります。溝になっていなくても、僅かな段差でも、鋭角に進むと乗りこえられなくて、転びそうになります。自転車は不安定なので、そういう危険は沢山ありますが、大きな事故にならないのは、大してスピードがでていないからだと思います。実際、私も転んだことは何度もありますが、打撲程度で済みました。大けがをするのは、かなりのスピードで走るからではと感じます。

■公道は実用の道具だけど、趣味の場にも使いたい

 ロードバイクでも、ママチャリ程度のスピードで走っていれば、ハンドルを取られることはあっても、大けがという事態はそうそうありえないのではないでしょうか。ロードバイクに時々出くわしますが、自動車並みのスピードで、みていて私は怖くなります。でもまあ、それはエンジン付きのバイクだって4輪だって同じです。

 ですから、趣味のロードバイクは公道を走るなとは考えません。ところが、公道でスケボーすると、なぜか怒られます。スケボーも舗装した路面でなければ楽しめない遊びですが、公道では禁止で、パークのようなところでする必要があります。ロードバイクだけが許されるのは何故なのでしょうか。


■管理された空間の遊びと、自然の空間の遊び

 私は、どちらかというとロードバイクだけでなく、スケボーも許されるべきだと考えます。当然、管理された公道を使いますので、道路交通法などのルールに従わなければなりませんし、遊びのために特別な維持管理や道路の仕様を要求する権利はないと考えます。あくまで、実用のものを遊びにも使わせてもらっているという立場です。

 遊びはあくまで個人的なものですから、公的な介入やお節介を私は拒否したいです。それと、公的な管理や補助を要求しないことも対になっています。つまり、遊びは自己責任だということです。自然の空間の遊びでは、要求する相手の管理者が存在しませんが、管理された空間では介入はやむを得ません。それでも最小限にしたいです。

 
■最終的にいいたい事

 最初から意識していたのではありませんが、考えているうちに次のようなことに思い当たりました。管理者にあれこれ要求するということは、管理者の介入を受け管理されることにもなるということです。遊びならば、できるだけそれは避けたいです。ロードバイクに適した道路整備を管理者に要求すれば、タイヤ幅規制などの車検制度というカウンターパンチが飛んできかねません。

■以前にも考えたことがあった

 以前よく遊んだウインドサーフィンは、通常、公有水面という管理されていない場所で遊びます。航路や養殖場、漁場も公有水面ですが、入りこまないように注意します。万が一、定期船を止めたり、漁業者に被害を与えれば、莫大な損害賠償を要求されますので、人為的な危険には近づかないに越したことはありません。

 一方で、自然の危険は遊びの面白さと表裏一体なので、避けるわけにはいきません。ところが、管理者はお節介にも、危ないからと、介入してきて、面白さを台無しにしていまう傾向があります。そして、遊びとはスポーツに限らず、表現の自由問題へとつながります。