自己催眠とか自己暗示とか

甲状腺がん 福島県外の子どもらに重症化傾向

NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」(事務局・東京)は1日、東京電力福島第1原発事故後、甲状腺がんと診断され療養費を給付した114人(福島県内84人、県外30人)のうち、県外の子どもらに重症化の傾向があることを明らかにした。甲状腺の摘出手術後、再発の危険性が高いとして放射性ヨードを服用する「アイソトープ治療」を受けたのは福島県内2人(2%)に対し、県外11人(37%)だった。
(中略)
福島県は事故当時18歳以下だった人を対象に甲状腺検査を継続しており、同基金はこの検査が早期発見につながり、重症化を抑えていると分析。一方、県外の場合、自覚症状が表れるなどがんが進行してから治療を受けるケースが多く、福島県民に比べて発見が遅れがちとみている。

 「甲状腺がんと診断された」時点で「発見」されています。にもかかわらず、「発見が遅れがち」とは、意味を成しません。なんとなく「県外でももっと検査せよ」と言いたいようですが、その主張の根拠に調査結果は全くなっていません。はるかに多く検査している県内では、「重症」はたったの二人ですからね。

 それはともかく、この記事にある情報だけでは、大したことはわかりません。あり得なさそう場合も含めて、いろんな可能性が考えられます。先ず、NPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」にとって都合のよい可能性として、原発事故(事故は3.12だけど)によって甚大な影響を受けた子供ばかり、県外に避難したというもの。何故、そういうことになったのかは全く分かりませんので、あり得そうにありませんが。

 次に、「県外では、発見が遅れがち」ではなくて「治療が遅れがち」という可能性です。県外の人は、甲状腺がんと診断されても放置する楽観的な子どもと親が多くて、重症化してからやっと治療するという仮説です。これに対して県内の場合は、すぐに治療するので、重症化するのが少ないというわけです。でも甲状腺がんは進行が非常に遅いらしいのでこの可能性も少なそうです。治療時期など、詳細に調べれば、この可能性は否定されるんじゃないでしょうか。

 三番目は、県外では重症の発見が多いという仮説です。そうであれば、当然、重症の治療も多くなります。この仮説は1番目と似ていますが、重症が多いではなくて、重症と診断されるのが多いということで、少し違います。この可能性も一見なさそうですが、状況次第では十分あり得ます。そもそも診断を受ける子供の状態が違うという可能性があるからです。福島県が実施している甲状腺検査は福島県民が対象で、県外在住の場合は協定を締結した県外検査実施機関でしか行っていません。県内では多くの検査拠点があり、比較的手軽に検査を受けられますが、県外だと遠方に出向く必要があるかもしれません。時間も費用も掛かるとなれば、何等かの自覚症状や不安を感じている場合が多くなる可能性があります。

福島県「県民健康調査」甲状腺検査について

 最後に、県内外で検査を受けた子供の状態が同じでも、不安が大きい県外の方が過剰な治療を望むという仮説も考えられます。

 いずれにせよ勝手な想像の話で、報道の情報だけからは何とも言えません。それは、NPO法人の見解も同じで、想像や思い込みに過ぎないわけです。素朴な印象では、県外の方が重症化の傾向が強いのなら、東京電力福島第1原発事故とは、無関係と考えるのではないでしょうか。しかし、思い込みが強いと、無関係な調査も思い込みの根拠に見えてしまうという例だと思います。

 話は変わりますが、つい先日、ヤラセ噂のモニタリングという番組をみていたら、自分の夫がイケメン俳優に見える催眠術をかけるというのをやってました。もちろん、インチキ催眠術で、本物の俳優とこっそり入れ替わるというイタズラですが、面白い付録がありました。催眠術を信じ始めたターゲットに、レモンが甘くなるという催眠術をかけると、本当に甘いと感じたのでした。これは十分あり得ることです。

 自己暗示つまり思い込みは想像以上に強力です。私も、思い込むと考えられないような勘違いを良くします。