第7回市場問題PTにおいて小島座長が出した資料3に,杉並病の記述があります。
この記述を読んで,公害等調整委員会が「杉並病」を化学物質過敏症と認めたかのように誤解する人もいるんじゃないでしょうか。正確には次の通りです。
公調委は杉並病を「化学物質過敏症」と認めていません。公調委が認めたのは,H8年4月から8月頃に生じた被害が杉並中継所から排出された相当量の化学物質(種類は特定されていない)によるということです。この時期には排水からの硫化水素の発生が検出されていて,区も被害との関係を認めています。申請人Aさん以外の住民にも被害が多数存在していますが,彼らは化学物質過敏症を主張していません。
Aさんは9月以降も被害を訴えていますが,この時期には排水は止められ,化学物質も検出されていません。Aさんは,検出されない超微量の化学物質によるまさに化学物質過敏症だと訴えたのですが,公調委は認めていません。検出されない超微量の化学物質が原因などということは証明できませんし,仮に原因だったとしても,検出されない何かが杉並中継所から排出されたとわかるはずがないからです。
杉並病とCS
化学物質過敏症という疾病概念は科学(医学)も行政も認めていません。なお,症状や被害があることは事実なので,原因に関わらず,行政的に救済されます。
自称化学物質過敏症患者さんに「安心」を与えるためには,検出できないような化学物質を環境から排除しなければならず,不可能です。このことは,地下水の環境基準と似ています。地下水は自然環境なので,変化し人間が制御することは不可能です。それは築地の地下水でも同じです。常識的に考えて,自然の水を全部,飲めるようにするのは無謀でしょう。豊洲が安心できないので使えないと言い出せば,築地も他のどんなところも使えなくなります。人間に可能で責任があるのは,食品を取り扱う人工環境の維持です。
地下水を環境基準以下にするのは理想の目標としてはあり得ても,保証するなどいうのは途方もないことです。保証できるというのは嘘つきだと私は考えます。