段ボールハウスの住人は,引っ越しできない 死んでしまうから

問うべきは「築地か、豊洲か」ではない。「一時休業があって、現有地も保証されませんが、再整備に賛成ですか?」という意向調査が必要
http://otokitashun.com/blog/daily/14285/

こうした方々は債務超過のため、行政が用意する低金利の融資すら利用することが危うく、一時休業や引っ越しの影響で被る不利益に耐えることができないので、移転であれ再整備であれ現状を動かすことには反対する可能性が高いのです。

 めっきり少なくはなったが,豊洲市場に耐震性がないやら,床が抜けるやら,使い勝手が悪いという声がいまだになくならない。もっとも,これらの指摘にも一分の理がないこともない。例えば,床荷重不足という指摘については,確かに構造計算書に間違いがあった。決して望ましいことではないが,この種の間違いは時々ある。それでも,出来上がった建物に強度不足があることはそのうちの極一部である。荷重の計算は細かい積み上げを行うが,最終的に総合計のチェックを行う。相場が平米1トンある建物が,500キロしかなければ何かの間違いだと気づく。しかし,間違いがあっても990キロなら気づかない。気づかないが致命的なことにはならない。計算書が間違っていても,部材の最低断面や最低配筋量で十分になることも多いし,計算書結果から図面になるまでには,工学的判断が介入する。さらに,図面が間違っていても,現場で気づくことも多い。

 もし,構造計算書の1か所の間違いが簡単に致命的欠陥を招くようでは怖くて建築など作れない。人間は間違いを犯すのが普通だからだ。現実には,上述のように,二重三重のチェックで安全は確保されている。豊洲市場も完成した建物の安全性は市場問題PTや建築確認で確認されている。

 また,使い勝手については政治の世界の政策同様に,悪い評価があるのは普通である。建築に要求される性能は多岐にわたり,互いに相反するものも多い。従って,建築の設計とは,要求性能をいかに妥協させ,相対的に最も優れた解を見つける作業といえる。要求性能にはコストも入っていて,この要素はほとんどの他の要求性能と相反するのである。従って,要求性能を100%満足させることは不可能であり,何らかの不満やクレームは必ず発生する。問題は,それが多数意見なのか,あるいは致命的な欠陥なのかである。

 以上の事柄は,現実世界に住んでいる人には建築に限らず,常に当面することであり,言うまでもないことだ。ところが,現実世界ではなく理想世界に住んでいる場合,事情が異なる。例えば,実際に生産行為に関わらない評論家,マスメディア,政権を取る気がない野党のような仕事に携わっていると,その傾向が強くなる。とはいえ,重箱の隅をつつく圧力団体のような仕事も社会には必要ではある。さもなければ,現実世界は理想に近づかないばかりか,遠ざかってしまいやすいからだ。理想を遠ざける力も作用しておりバランスはとらなければならない。それでも,現実世界の改善から遊離して批判だけ行うのは,単なるクレーマーと変わらない。

 大抵のクレーマーはゼロリスクを求める。さらに,狭い視点で一つの事柄だけにゼロリスクを求める。広い視点で互いに矛盾する複数の要因を考え出すと,ゼロリスクが不可能なことが明白になってしまうので,あえて一つの事にしか着目しない。意識的にそうすることもあれば,無意識的な場合もある。クレーマーの目的はクレームを解決してもらうことではなく,別にある。

 さて,豊洲市場への批判はほとんどゼロリスク追及のクレームである。例えば,地下水の環境基準超えゼロを求める。しかし,環境基準とは将来の理想社会の目標であって,現状では満足していない場所は数多い。市場内の車両や歩行者の動線には完全分離を求める。しかし,動線の交わりが必要な個所もある。乱雑に積み上げた荷がカーブでも落下しない通路を求める。しかし,それが可能なのは平坦な直線路しかない。現状で不法占拠している共用部分を含む区画面積を求める。しかし,そうすると使用料が払えなくなる。

 現実の豊洲市場施設には欠点もある。従って,クレーマーの要求を満足することはできない。かくして,豊洲市場はけなされる。その結果,勘違いした住民投票か何かで移転が中止になれば,クレーマーとしては目的達成である。別に,100点満点の施設を求めているわけではないからだ。豊洲は90点しかなく100点満点ではないとケチをつけ,移転を阻止すればよい。そうなれば,30点しかない築地市場に当面は居続けられる。もちろん,築地が30点なのは内緒である。未来のない一時しのぎであるが,移転に耐える体力がないのだから仕方無い。

 ところが,ここにきて築地市場のdisりが目立つようになってきた。それどころか,移転反対派を支援してきた政党や都の委員までもが,築地再整備などとうっかり言い出している。これは移転反対の市場関係の当事者にとって心安からぬ事態だ。豊洲と築地の比較に目を向かわせ,30点であることが知れ渡ってしまう。おときた議員の言うように,築地再整備は移転以上に大迷惑だろう。再整備よりはマシと移転を選択した経緯があるのだ。しかし,市場当事者以外の政党や都の委員にとっては,30点の違法状態を表向き放置するわけにはいかない。本気で取り組む気はなく,ポーズだけかもしれないが,それはそれで闇社会の入り口である。違法状態が既得権によって放置される闇社会であるが,取り締まれば崩壊してしまうほど時代から取り残された社会でもある。期限切れの仮設建物を違法使用し続けるなど,なんとなく,梅田駅地下の串カツ屋を連想した。もう,存在しないが。

目に見えない寄生虫! 「韓国産のヒラメ」が危ない
http://president.jp/articles/-/14260
10月中旬に東京・中央区で起きたヒラメの食中毒では、飲食店関係者が「食の安全が脅かされている」と憤る産地偽装事件が起きている。

この事件は、銀座の和風料理店のヒラメの造りを食べた客が食中毒にかかり、調査の結果、産地偽装が発覚したもの。築地卸売市場の仲卸が国内産養殖として料理店に販売したヒラメが、実は韓国・済州島の養殖モノだったのだ。営業停止命令は料理店だけで、仲卸に営業停止などの処分はなかった。