豊洲市場の環境アセス

 見事にミスリードされていました。 昨年9月ごろ豊洲市場の建物下盛土が無かったことで,環境アセスの修正に1年以上かかる可能性もあるという報道がされました。なんとなく大変だなと聞き流していましたが,環境アセスとは,豊洲市場建設が環境に与える影響を評価するもので,地下水などの環境が豊洲市場の食の安全に与える影響を評価するものではないのですね。考えてみれば当たり前ですが,うっかり,市場の安全にかかわるように勘違いしていました。我ながら馬鹿ですね。

 とはいえ,盛土が無ければ環境に与える影響も変化しますので,環境アセスの修正が必要にはなります。どのような修正が必要なのか,今更ながらに気になってきたので,環境アセスの概要を調べてみたら,次のようになっていました。

豊洲新市場建設事業」の環境影響評価書が提出されました。
https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/assessment/reading_guide/cat7239/242_2.html

大項目として,次のものがあり,それぞれ工事中と工事完了後の影響を評価しています。
1.大気汚染
2.悪臭
3.騒音・振動
4.水質汚濁
5.土壌汚染
6.地盤
7.水循環
8.生物・生態系
9.日影
10.風環境
11.景観
12.自然との触れ合い活動の場
13.廃棄物
14.温室効果ガス

 汚染土壌に関して主に評価しているのは,工事中です。工事中は土を掘削して大気に暴露してしまいますので,次のような対策を行うことで大気への影響はないと評価しています。

ベンゼン等揮発性物質を含む汚染土壌を計画地内の仮設土壌処理プラントで処理する際には、仮設洗浄処理プラント、仮設掘削微生物処理プラント全体と仮設中温加熱処理プラントの土砂投入口と仮置場にそれぞれ排気処理設備を備えた揮発養生テントを設置し、大気中へのベンゼン等揮発性物質の揮発・拡散を防ぐとともに、揮発養生テントからの排気についても排気処理設備により揮発性物質の吸着処理を実施する。」

 工事完了後は,関連船舶の運航,駐車場の共用にともなう二酸化炭素の影響などで,盛土という言葉すら出てきません。「盛土」という言葉が出てくるのは,工事の施工中の「5.土壌汚染」の項目で,次のように記載されています。

 「さらに、A.P.+4.0m〜A.P.+2.0m の土の入れ替えを含む計 4.5m の盛土、街区周縁へ遮水壁を設置することによる地下水の遮断、砕石層設置による毛細管現象の防止及び地下水管理システム導入による水質・水位の管理を行うため、対策完了後に計画地内の土壌、地下水及び空気からの汚染物質の曝露による環境への影響が生じることはない。」

 工事中のところに記載されていますが,「対策完了後」なので工事完了後のことを書いているようです。建物下の盛土が無くても建築工事完了後は建物が蓋になりますので,周辺環境への影響が生じなくなりますが,汚染土壌が大気に暴露している期間が少々長くはなります。それくらいの影響はあるというか,すでにあったわけです。

 いずれにせよ,周辺大気への影響で市場で扱う食品への影響ではありませんけど。