言葉の不備 − 表現ということが表現されない

 24/8を整数ではないと思う人が1/3いるというのは衝撃的です。それはともかく,このアンケートで今まで意識していないかったことに気づきました。24/8はもちろん整数ですが,分数でもあります。しかし,3は整数ですが,分数ではありません。小数でも同じことが言えます。3.0は整数ですが,小数でもあります。3は整数ですが,小数ではありません。

 何をわかり切ったことを書いているのだと突っ込まれそうですが,意識したというのは,分数や少数は数の表記法であって,整数は数の実体の分類だということです。当たり前ですが,整数は分数でも少数でも表記できます。

 正確を期せば,「24/8は分数である」ではなくて,「24/8は分数表現である」というべきなのでしょうが,煩わしいので,通常省略されます。「三は整数である」とも「三は漢数字である」とも言いますが,後者は「表現」が省略されています。「雪(実体)は白い」と「雪(名前)は一文字である」の違いにも似ています。

 言葉は「実体」と「表現」の両方に言及できますがその表現上の区別をあまりしません。それがたまに混乱を招きます。一方,数式が言及するのは「実体」であって,その表現法はいろいろです。「3」は「24/8」とも「3.5-0.5」とも表現できます。