豊洲市場の地下空間の水銀蒸気の量

 専門家会議後の記者会見では、水銀汚染が極々微量ということについての説明も詳しくしていました。モニタリングの指針値が極めて小さく決められているという説明で、決めた時の資料が次のリンク先にあります。

今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第七次答申) 
別添2−3 水銀に係る健康リスク評価について
 http://www.env.go.jp/council/toshin/t07-h1503/mat_02-3.pdf

 かいつまんでいうと、労働環境での疫学的調査から、健康影響がでる最低量が立米当たり20μg前後で、それを不確実係数500で割った立米当たり40ngを一般環境の指針値とした、ということです。不確実係数とは労働環境では1日8時間で20〜30年曝露であるのに対して、一般環境では1日24時間70年曝露であることや、乳幼児や高齢者などの高感受性者が存在することなどを総合的に考慮したものです。つまり、70年間その環境に居続ければ健康影響がでるのが、立米当たり40ngぐらいではないかということです。豊洲地下空間では、その7倍程度検出されたのですが、居住空間ではなく、一時的に入ったくらいでは何の影響もない量だと記者会見でも繰り返していました。

 生鮮食品を扱う市場でもあり、食の安全という面で心配する声もありますが、魚が70年間汚染空間に保存されるはずもなく、数時間でどれだけ付着するかを考えれば、危険の程度もわかるかと思います。心配するなら、食品の安全よりも、そこで働く人の健康の方でしょう。もっとも、働く人も魚も地下ピットには入りませんし、地上では検出されていません。

 だから、モニタリング中も施設を利用できるし、モニタリングは2年と言わず、10年ぐらいは続けるのではないかと記者会見では言っていました。モニタリングで安全を確認してから使うのではないのです。モニタリングとはそういうものです。