三浦九段の不正の確率

将棋「スマホ不正」問題を渡辺明竜王が独占告白
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/6688

それを知らされた渡辺竜王は過去の三浦九段の対局も含めて調べ、指し手の一致、離席のタイミング、感想戦での読み筋などから「間違いなく“クロ”だ」と確信したという。
(中略)
渡辺竜王から説明を受けた出席者たちからは「99.9%やってますね」という意見も出て、“シロ”を主張する棋士はいなかった。

 限り無く怪しそうですが、状況証拠ばかりで決定的な証拠がありませんね。プロにしかわからない勘があるのでしょうが、真相は不明としか言えないのではないでしょうか。
 
 状況証拠というのは、ソフトと三浦九段の指し手の一致率の高さと対局中の不審な行動です。不正行為を行っていなければこのような不審行動等の可能性は非常に小さいのでしょうが、だからといって不審行動等があれば犯人である可能性が高いとは言えません。いわゆる「訴追者の誤謬」に陥っている恐れがあります。

 確率は誤解しやすい
 http://d.hatena.ne.jp/shinzor/20131217/1387272223

 確率を計算する前提の数値がありませんので、適当に仮定して試算してみましょう。

 不正者が不審行動をする確率(事後確率)は 99/100とします。プロ棋士160人のうち不審行動が見られるのは三浦九段一人のようなので、公正者が不審行動をする確率は 1/200とします。

あと、事前確率として不正者の存在確率が必要ですが、プロ棋士160人のうち一人とします。犯罪捜査では犯人が確実に一人存在するのでこのようにしてよいですが、将棋不正者はいないかもしれませんので、大き目の仮定と言えるかもしれません。

 以上より、160人の棋士のうち不正者は1人、公正者は159人です。不正者1人のうち不審行動をするのは99/100人、公正者159人のうち不審行動をするのは159/200人となります。従って、不審行動をする者のうち、不正行為者の比率、すなわち不審行動者が不正者である確率は 

(99/100)/(99/100+159/200)=0.55

55%と、半々の可能性で、99.9%とはかけ離れています。逆に99.9%になるためには、公正者が不審行動をする確率が非常に小さければよく、仮に0%なら、計算するまでもなく、不審行動者は100%不正者です。おそらく「99.9%やってますね」というのは、不正を行わないのに不審な行動をするはずがないと感じるからかもしれません。でも棋士には変わった行動をする人が結構いますね。