ポピュリズムと劇場型政治

豊洲市場
小池知事「退職者も含めて懲戒処分」 都議会
http://mainichi.jp/articles/20161006/k00/00m/010/093000c

 都は9月30日、盛り土計画は段階的に変更され、決定責任者は特定できないとする検証報告書をまとめた。小池知事は「犯人捜しが目的でない」と報告書に一定の理解を示したが、都民らからは「内容が不十分で甘い」との批判が寄せられた。

 このため知事サイドは支持率低下を恐れ、一転して答弁に責任者の追及を盛り込んだという。

 責任追及が原因究明を阻害するのは常識です。当然、小池知事も知っていたと思います。だから「犯人捜しが目的でない」と、言い訳したのだと思いますが、ポピュリズムには負けますね。収賄、利害関係者への便宜供与のような犯罪があったのなら、地方公務員法あるいは東京都の規定に則り粛々と処分すりゃいいです。議会で決めるようなことじゃありません。でも、業績不振とか、判断の誤りなどという、事後的にしかわからない政治的な理由で超法規的懲戒処分とは恐怖政治です。

 懲戒処分に値するどんな不法行為があったと考えているんでしょうか。専門家会議の提言を無視したこと?。でも無視したどころか、改善したと思っていたようで、それって見解の相違ですね。判断が甘いとか、書類をちゃんとチェックしていないとか、仕事が雑だとかいろいろあって勤務評定には影響するにしても、不法行為とは次元が違います。そもそも、提言とは参考意見を述べることで行政の決定ではありません。専門家会議は決定権を持つ常設の委員会ではない、臨時の審議会です。2008年には会議は解散していますから、お伺いも立てられません。調査によって、行政的な意思決定した責任者もその時期もわかっているじゃありませんか。

 それにしても、「内容が不十分で甘い」という都民ってだれでしょうか。一体何が出てこないと満足できないのでしょうか。意思決定したのが誰かも分かっているのにですよ。その決定は違法とは言えないから不満なのですかね。やはり、利権がらみの悪代官をお白州に引き出さないと満足できないのかと思います。これぞ劇場型政治です。でも、現実は地味だと思うのですが。