錯覚 ーー コルビュジエ

 「コルビュジエ」の建築群が世界遺産に登録されているニュースを聞いていて,違和感を感じました。アナウンサーの発音が「コルビジエ−」と尻上がりに伸ばしているのです。建築の教育を受け,建築関係の仕事を長年にして来た私は,数十年にわたり正しく「コルビジェ」という風に短く発音していました。これだから建築の素人のアナウンサーは困ります。

 ・・・と,その後,報道記事を良く見てみたら,私の目の方が節穴だったことが分かりました。新聞記事は発音はさておき,表記が「コルビュジエ」となっていたのです。「コルビュジエ」ならあのアナウンサーの発音の方が近いです。2009年と2011年にも世界遺産エントリーの報道はされていますので,新聞記事は見ていました。しかし,「コルビュジエ」と表記されていることに全く気づきませんでした。私の目には「コルビジェ」と見えていたのです。

 ただ,ネット上の表記を見てみると,両方の表記がありました。ウィキペディアによると,コルビュジェ、コルブジェ、コルブジエ、コルビジエ、コルビジェ、コルビュゼ、コルビジュ、コルビュジュという表記もあるらしいです。フランス語の発音にもっとも近い表記をするなら「コルビュズィエ」となる,ということも書いてあります。あながち私が間違いだったとも言えず少々安心しました。

 視覚は網膜に写っているままに認識するのではなく,脳の解釈です。それを実感させるテストは色々有りますが,日常の実例も数知れません。UFOだって幽霊だって見えちゃうんですから。またひとつ錯覚コレクションが増えました。