多くのたとえ話や冗談は,的外れな行動や噛み合わない会話の馬鹿馬鹿しさを強調します。「蕎麦屋でラーメンを食わせろっていったら只の馬鹿」という例えは,蕎麦屋という場所を理解していない客の的外れな注文を揶揄しています。
直感に訴えなければならないたとえ話は,このくらい単純なのが分かりやすくて適当だといえます。あまりに複雑だと瞬間的に笑えない考えオチになります。また,単純ではあるものの,的外れの程度がぶっ飛びすぎても笑えなくなります。次がその例です。
おいおい,結婚式の披露宴会場,なんで蕎麦屋なんだよ。
蕎麦以外の料理も食べたいじゃないか。蕎麦屋でラーメンを食わせろっていったら只の馬鹿でしょ。
え?
おいおい,蕎麦アレルギーの俺をなんで蕎麦屋に連れて行くんだ。
蕎麦は食べられないんだよ。蕎麦屋でラーメンを食わせろっていったら只の馬鹿でしょ。
へ?
これは,たとえが的外れというたとえです。蕎麦屋を選んだことに文句を言っているのに,蕎麦屋ありきの受け答えをしている状況を表しています。あまりの的外れに「え?」とか「へ?」という反応になっているのですが,問題は,この例えを読んでいる読者も同じ反応になりそうなことです。会話の噛み合わなさが激しすぎて,面食らうのではないでしょうか。
面食らうということは,現実の場面でも的外れが通ってしまう可能性があるということです。どうせ的外れを言うのなら,思い切り的を外したほうが,相手を面食らわせることが出来ます。もちろん落ち着いて考えれば的外れに気づかれますが,機敏な対応が必要な場面では通ってしまいます。ついでに,もう一つ,面白くない例えを。
この蕎麦,旨いぞ。喰ってみな。
うーん,ダシになにか足らんな。
非建設的な意見だな。じゃあ,お前が作ってみろよ。
は?