ホームドアの副作用

TX、ドアに傘とバッグ挟んだまま隣駅まで走行
 http://friends.excite.co.jp/channel/article/22444/

TXを運行する首都圏新都市鉄道(東京都台東区)によると、トラブルが起きたのは同日午前7時40分頃。埼玉県八潮市八潮駅で、つくば発秋葉原行き上り区間快速電車(6両編成)の女性客(20)の傘の柄とトートバッグの持ち手がドアに挟まれ、傘とバッグが車外に出た状態で発車した。傘は、車両から約30センチ離れたホームドアにぶつかって折れ、バッグも破損した。隣の六町駅(東京都足立区)の手前で車内の非常通報ボタンが押され、通過予定の同駅に緊急停止した。乗客らにけがはなく、最大17分の遅れが生じた。

 この事故は,挟まれた傘とバックがホームドアで隠れて駅員やホームの乗客が気づかなかったことが原因です。ホームドアが無かったらこの事故は起きませんでした。重大なホームドアの副作用ですが,首都圏新都市鉄道は当然予想されるこの副作用について無視してきました。報告されたのはこの1件だけですが,実際にはこの10倍の被害者がいると予想されています。今回は傘とバッグの破損で済みましたが,人身事故,場合によっては死亡事故も有り得ます。

 従来はホームドアの設置を推奨してきた国土交通省も,この事故を重視し,現在では推奨していませんが,本来は禁止すべきです。ホームドアは転落事故防止に効果があるという触れ込みで導入されました。しかし,転落による死亡事故は泥酔者による自業自得とも言うべき場合が大半で,しらふの人がぶつかられて転落死亡した事例はほとんど有りません。国交省がまとめている「運転事故等整理表」によれば,転落事故は、02年4月から09年3月末までの8年間に3997件あり、4013人が死傷していました。しかし,ぶつかられた人が転落したケースでは2人が負傷しているものの,死亡者はありませんでした。深酒をしないなど本人が注意すれば事故は防げるのです。危険な副作用を持つホームドアの設置は止めるべきです。

 てなこと言う人はいませんが,傘とバッグに被害を受けた気の毒な乗客が存在するのは事実です。副作用のあるホームドアは止めようという人がいないのは何故でしょう。