免震棟がない原発は危険なのか?

申請の11原発、免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小 ー 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016020702000122.html

 「免震機能省く」。この言い方は違和感があります。「免震」というのは機能なのでしょうか。「冷却機能」,「拡散防止機能」なら自然ですけどね。地震時の「事故対応機能」を発揮するために「免震構造」を手段として採用したのであって,その機能が果たされるなら,別の手段でも良いはずです。そう言う手段がなければ「免震」は必須となって「機能」になるかも知れませんが,そうなのでしょうか。必須ならば,規制基準で求められていなければなりません。発端の川内原発の報道に遡ってみると,どうもそうではないようです。

九電、免震棟新設を撤回 川内原発 再稼働の前提ほご ー 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122602000235.html

九電は「方針変更は総合的に判断した。費用面も全く無関係ではない」としている。規制委幹部は「一度設置すると約束したものをやめるのならば説明が必要だ」として、九電に経緯や機能の説明を求める方針だ。

原子力規制委
川内原発免震重要棟「納得いく説明ない」ー 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160128/k00/00m/040/079000c 
 この日、田中委員長は「この1件をもって川内原発の安全性をどうこう議論するべきではない」としたうえで「審査会合で(九電は規制委の)質問に答え切れていない。今後の対応を見て、規制委としての判断をしていく」との認識を示した。

 免震棟は電力会社の自主的な安全対策で,規制基準の要求事項ではありません。それは当然で,規制基準を満たさない変更申請が出来る筈が有りませんから。とはいえ,設置すると申請した以上,変更には合理的理由の説明が必要ですが,納得出来る説明がないと規制委は言っているのですね。でも,規制委も免震棟がなければ危険だと考えているわけではなく,具体的に何処に納得していないのかもよく分かりません。「危険だ」,「いや安全です」という議論が行われているのではなく,「変更しても,規制基準は満足します。」,「それは当然だけど,何故変更したの。まさかコストダウンじゃないだろうね」,「・・・」というやり取りを想像してしまいます。

 原発以外ではこのようなやり取りは考えられず,必須かつ最低限の規制が行われます。安全だから良いだろうと,建築基準法以上の安全性を建築主事が求めるのは,過剰規制ですし,職権濫用です。ところが,原発の場合,より安全に出来るなら安全にすべきだという空気が有ります。この空気は,どれ程安全にしてもしたりない,100%の安全でなければ安心出来ないというところから発していると思います。

 いうまでもなく100%の安全は不可能ですから,そもそも無理があります。そう言う無理がこう言うところに顔を出すのじゃないでしょうか。