等式変形マニュアル

「等式変形」で検索してみると、こんなのがありました。

等式変形がわかりません!
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11104696966 

 質問者は「文字と数字の順番」,「移項と逆数の順番」,「2c-3b、か -3b+2c か」と順番でお悩みです。これらは,数式の基本的表記ルール,分配則,交換則と「等式の両辺に同じ操作をしても等式は成り立つ」という論理を理解していれば,自ずと分かることです。そうしなければならない決め事もあれば,どっちだって良いこともあります。しかし,どっちだって良いと言われるとどうして良いか分からなくなり,どっちか決めて欲しいという願望を何となくこの質問に感じます。基本を理解していなくても等式変形の応用に使えるマニュアルを望んでいる,といえば言い過ぎですが。いや,どうかな・・・・・


・・・「文字と数字の順番」は表記を見やすくするための決め事である。「移項と逆数の順番」は数式の意味を理解していれば分かる話だ。「2c-3b、か -3b+2c か」に至ってはどっちでもよい。しかし,その程度のことも分からないのが子どもなのである。従って教師は○○でも××でも使えるマニュアルを提供しなければならない。既に「掛け算順序ルール」でその種のマニュアルを提供してきており,その効果でこのような質問を持つ者が現れ,ますますマニュアルへの要望は高まっているのである。今更止めるわけにはいかないのである。

 例えば,「移項するときは符合を変えるルール」とだけ教えられると,

 (a+b)×c=d

 b×c=d-a

としてよいのかと悩む子どもも存在するのである。そこで,うっかり「逆数をかけるのが先ルール」なぞと教えてしまうと今度は,

 2a+b=c

 a+b=c/2

としてしまう。そんな馬鹿な奴はいないと思うのは甘い。「等式変形がわかりません!」の質問者はそう言う疑問を持っている可能性が高いのである。少々複雑になっても懇切丁寧にやり方を教えなければならないのである。基本を理解させる方が簡単で早いといったところで,理解出来ていないのだから仕方無いのである。

 確かに,基本を理解していれば,質問者のような疑問は生じないが,現実に生じている以上対応しなければならない。回答者は、移項ルール、逆数をかけるルール、符号を変えるルールなどなどを導入して、やたら複雑にして混乱を招いているように思えるかも知れないが,質問者は「すごくわかりやすかったですありがとうございます!!」と感謝しているではないか。
 
 教育上のテクニックとは理解させるための手段なのであるが,理解していなくてもマニュアル的に使えば正解にたどり着ける道具である必要があるのも現実である。ただ,一見便利そうなマニュアルであるが,どんどん複雑になっていく傾向がある。例外が出てくる度に、「ただし、・・・の場合は・・・」と注釈が繁殖して何が何だか分からなくなっていくが,めげてはいけない。めげなければ感謝される・・・・


・・・実にばかばかしいです。でも,大人の世界も大同小異です。マニュアルとは、本質を理解してない○○でも、××でも、マニュアルに書いてある文字通りに行えば一定の成果が得られることを目的としています。こうしたマニュアルは、様々な場合分けによって、どんどん煩雑になっていく宿命にあります。建設工事の共通仕様書や標準仕様書は適用範囲があり,万能マニュアルではないのですが、万能マニュアルとして使いたい○○や××な人の要望は強いです。その結果、複雑になり、分厚くなっていきます。

 現実問題として,理解の浅い大人でも仕事が出来るようにマニュアルは必要です。算数教育の「順序ルール」というマニュアルも子ども向けだけでなく,理解の浅い大人の先生の要望で出来上がった面もありそうです。でも,子どもの教育はそう言う大人に出来るだけならないようにして欲しいですね。