スポーツの観戦の仕方

ラグビー日本代表の帰国に際し思うこと。〜続・日本人は本当に「スポーツ」を楽しんでいるのか?〜
http://potatostudio.hatenablog.com/entry/2015/10/14/073000

 今や,オリンピックにもプロは参加していて,アマとプロの区別は曖昧などと言われます。既に1974年にオリンピック憲章からアマチュアという語句は削除されているんですね。40年以上昔です。しかし,言葉の定義からは,アマとプロは明確に区別出来ます。アマチュアとは職業化されていない人のことで,アマチュアスポーツと言えば,趣味として行うスポーツとでもなります。つまり,自分の楽しみのために行うスポーツのことで,人に見せるものでは有りませんでした。今でも,草野球やママさんバレーはそういうものです。

 一方で,エリートと呼ばれる社会人スポーツは完全に観客を意識したものになっています。しかも,観戦料金を取っていて,強化費として選手に還元されます。企業選手の給料も名目はともかく,選手としての働きに対して支払われていると見るべきでしょう。言葉の定義からすれば,プロとしか考えられません。オリンピックのようなエリートスポーツも昔は貴族や資産家が自費で参加出来ましたが,現代ではスポンサーなしでは困難です。つまりプロでないと無理なのです。現代のアマとは草野球レベルにしか存在しません。

 さて,プロは観客を尊重します。お金を払ってでも観戦してくれるお客あってこそのプロだからです。プロスポーツの観客の楽しみ方は自由です。選手個人のファンになってもよいですし,チームを応援しても,地域や自国のチームを応援しても構いません。団体競技は自国のチームを応援することが多いのは日本に限りません。個人競技でも,大相撲は出身地域が大きな応援の要素になっています。

 それに対してアマは選手の楽しみが一番大事で,観客は二の次です。そもそもレベルの低いアマには観客は存在しません。観戦したい人はしても良いのですが,選手の邪魔をしてはいけませんし,あれこれ選手に注文を付けたり,批評するのはマナー違反です。日本人選手だけを応援したりすると,リンク先の記事のように「本当にスポーツを楽しんでいるのか」と言われたりするわけです。また,高校野球では地元の学校を応援するのは普通ですが,ある程度の節度が求められます。相手チームを野次ったりするのはアマの応援としては,マナー違反と見られます。

 つまり,プロスポーツではお客さんである観客の要求に応えるように選手が努力しなければなりませんが,アマスポーツでは,選手の邪魔をしないように観客が気を遣わなければいけないのです。その名残が実質的にプロ以外の何物でもないエリート競技に残っているのじゃないでしょうか。これらのスポーツの団体は,観戦料を徴収し,観客動員数や人気を興業的に気にしています。選手が自分の楽しみで行っているだけなら,気にする必要はありませんが,それで飯を食っている関係者が沢山いるので気にせざるを得ないのだと思います。要するにプロだということです。

 プロスポーツの観客が観戦の仕方をとやかく言われる筋合いはありません。観戦してくれるだけでもありがたいと興行側は思わなければなりません。仮に現状のラグビー人気は一時的なブームだとして,いずれ飽きた観客が去るのも自由です。興行側がそれでは困ると思うのなら,自分たちが工夫するしかありません。