原発メーカーの責任を被災者が問うメリット

原発メーカーにも責任」 GEなど3社に賠償訴訟 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082802000253.html
東京電力福島第一原発の事故で、被災者を含む国内外の約三千八百人が、同原発の原子炉を製造した米ゼネラル・エレクトリック(GE)と東芝日立製作所の三社に損害賠償を求めた訴訟の第一回口頭弁論が二十八日、東京地裁であり、原告側は「東電だけでなくメーカーも事故の責任を負うべきだ」と主張。メーカー側は争う姿勢を示した。

 タクシーに轢かれるという交通事故に遭った場合、損害賠償はタクシー会社に求めますね。仮に、事故原因が車両の欠陥にあったとしても、被害者が自動車メーカーに賠償を求めることは少ないと思います。自動車メーカーの責任は、タクシー会社との関係で処理すればよく、被害者が関わりあう金銭的メリットはあまりありません。

 現実的にも、事故原因が車両の欠陥にあったのか、或は運転手のミスにあったのかは裁判の過程で分かってくるもので、提訴時点では被害者には明確には分かりません。被害者としては、直接の加害者に賠償を求めればよく、加害者側の内輪の責任割合は加害者側で話をつけることです。加害者側の責任割合まで明らかにしなければ賠償を求められないのでは困ったことになります。

 ただ、車両の欠陥が原因であることが明らかであるならば、自動車メーカーに直接賠償を求めることもあるかもしれません。今回の訴訟は原発メーカーに原因があることが明らかだったのでしょうか。もしそうだとしても、東電にも責任はあります。例えば防潮堤に関しては原発メーカーは無関係ですから、別途に東電への損害賠償も行われているわけです。このように、複数の裁判を行うのは、被災者にとって負担が増えるだけのような気がするのですが、何かメリットがあるのでしょうか。

 特に、今回の東京電力福島第一原発の事故の発端は津波です。津波対策の主要なものは防潮堤関連で、主要な原因と責任もその関係者であって、原発メーカーはあまり直接的には関係しないのではないでしょうか。確かに、電源不要の冷却システムが可能であったなら事故は起きませんでしたので、原発メーカーに責任を求められないこともないとは思いますが、現実に実用的な商用炉で全電源喪失を考慮したものは存在していませんでした。従って、今後求められる可能性はあるにしても、過去に遡及して責任追及は難しいのではないでしょうか。

 例えば、私がホームセンターから物置を買ってきて、自宅の庭に基礎工事をして設置したところ、台風が襲来して、基礎への取り付けに欠陥があり物置が燐家まで吹き飛ばされ、そこの住人に怪我を負わせたとします。隣人が、ぶつかっても怪我しないような安全対策を怠ったとして物置メーカーに損害賠償を求めることはまず考えられません。訴えられるのは、手抜き基礎工事をした私のはずです。ただ、その隣人の弁護士が日ごろから物置を快く思っておらず、この世からなくすべきという信条の持ち主であったならありうるかもしれません。このような場合、被害者の隣人にそのような信条が無ければ金銭的メリットはないでしょう。物置に信条がある人は稀ですが、原発では私にも信条があるくらいです。ただ、信条の是非を裁判で決着を付けられるとは思えませんので、濫訴っぽく感じるのですね。