実用的な地震予知

南関東が警戒レベル最大に。地震予測の第一人者が警告する巨大地震Xデー
http://www.mag2.com/p/news/26654

 個人の立場から言えば,実用的な民間地震予知は,数日の誤差で発生日を特定でき,かつ安全な地域も示されている必要があります。発生日が数週間の誤差ではもう役立ちません。なぜかというと,地震予知をどのように活用するかを考えて見れば分かります。

 地震予知が必要なのは,避難するためです。もし,地震が起きても被害が発生しないようにインフラや建物の対策がしてあれば,別に予知する必要はありません。そういう対策が出来ておらず,事前に避難するしかないので,予知が求められているわけです。

 そして,避難すると言うことは財産の被害は諦めて,命だけでも助かりたいからです。当然,避難先で地震が発生するようなことが有ってはなりませんから,地震が発生しない地域も確実に予測出来ていなければなりません。

 しかし,避難すれば,仕事を休まなければなりませんし,交通費や宿泊費も発生します。あやふやな予測で,数月も個人的都合で仕事は休めません。確実に命に関わるような地震が発生するという確信を与えてくれる予知が必要です。

 これが民間地震予知ではなく,政府の予知であり,避難勧告や指示があれば,仕事や費用は気にしないで済みます。当然,政府は費用や休職保証をしてくれるでしょうからね。政府が保証しなくても,会社のほうで配慮してくれるでしょう。政府の勧告や指示で避難しているのですから。

 しかし,政府の立場とすれば,多数の避難民の経済的被害やその勤務先の被害の保証を考えれば,おいそれと勧告や指示は出せません。多大な国家の出費になりますし,間接的な経済への打撃もあります。だから,政府はいまだかつてそのような勧告や指示を出したことがないのです。結局,民間でも政府でも精度の高い予測でないと役立たずです。津波のように時間まで予測出来,せいぜい1日程度の避難で済む場合との大きな違いです。

 さらに予知が発生1日前というのも困ります。それから慌てて避難先を探して移動するには時間が少なすぎますし,避難が一時期に集中して混乱や二次災害が発生するかも知れません。そう言うことを考えれば,数日の誤差で,発生地域も限定でき,確度が高く,しかも1週間以上前に予測出来なければなりません。

 不均一で正確な情報のない地下奥深い地殻の破壊現象を1週間以上前に数日の誤差で予測するというのは,長期気象予報を1日のズレもなく行うほど困難に思えます。それよりも耐震対策の方が容易ではないでしょうか。

 村井東大名誉教授の地震予知は技術的には非常に有望です。ただし精度はまだまだで,「今後3ヶ月〜6ヶ月の範囲内で、小田原、箱根地区など南関東でなんらかの地震が来る可能性が非常に高い」という程度です。この情報で,半年仕事を休む決断が出来るかというと無理じゃないでしょうか。普通,自己都合で半年休んだらクビです。