自由意志による文化か依存症の症状か

校門前でコソコソ喫煙 教職員スモーカーに賛否両論
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150624-00010005-nishinp-soci

 何度か書いていますが,喫煙者は非喫煙者への加害者であるとともに,たばこ産業の被害者でもあります。理性では学校の近くで吸ってはいけないと分かりながら,吸わざるを得ないわけです。その罪悪感のため「コソコソ」という態度になるのでしょう。喫煙の権利を主張しているわけでもなく,体が煙草を求めているだけなのです。つまり依存症です。

 こうなれば最早,マナーの問題ではありません。依存症患者の福祉の問題です。喫煙は趣味嗜好の一つで,お茶やスイーツなどと同様に嗜む自由はあります。一部の愛煙家はその自由が侵害されたと憤慨しますが,全く自由は保障されているのです。ただ,嗜むTPOも他の趣味嗜好同様に制限があるだけです。

 趣味としてカラオケを楽しむ人は多いと思いますが,勤務時間中に我慢出来なくなって,校門前で歌い出す先生はいませんん。スイーツが好きな甘党も多いですが,会議中に我慢出来なくなって,会議室を抜け出してイチゴ大福にかぶりついている光景も見た事がありません。私が見た事があるのは,入院中の病室の中でした。同室の糖尿病患者さんは,医者から止められているチョコレートを売店から買ってきて食べていました。足に症状が出ていて車椅子生活なのにです。

 煙草も喫煙可の店や自宅で吸う分には全く自由です。しかし,職場や公共の場で勝手に趣味嗜好を楽しむ権利がないのは,他のものと同じです。8時間程度の我慢が出来ないのは,医学的原因によるものです。煙草の健康への悪影響は確かですが,仮に肺がんなどの悪影響がないとしても,自制心を失わせる何らかの影響を脳にあたえているのは確かでしょう。TPOを制御できない趣味嗜好は認められません。

 喫煙を制御できない喫煙者に必要なのは,糖分摂取を制御できない糖尿病患者同様に医療的ケアだと思います。