危なかった消費者庁

情報開示という名の責任転嫁か、機能性表示食品制度 情報開示という名の責任転嫁か、機能性表示食品制度
http://www.foocom.net/column/editor/12339/

4月から施行された「機能性表示食品制度」は消費者に分かりやすい情報提供を目的とした制度ですが、皮肉なことに制度が分かりにくいです。

 機能性を表示するためには科学的根拠が必要ですが、それは企業の責任で行い国に報告するだけであって、国は製品の安全性や機能性にかんする審査はしないそうです。また、科学的根拠にも「臨床試験」と「研究レビュー」という信頼性の違いがあって、その違いを表示に示すことになっているそうですが、消費者にはその違いは見分けられないだろうと、松永 和紀氏は指摘しています。

 さらに、試験の信頼性は試験デザインによって大きく違いますが、表示制度は審査ではなく、申請を事務的に処理するだけなので、形式的な不備がなければ信頼性にかかわらず登録されるようです。消費者に誤解を与えるだけになりはしないかと松永 和紀氏は心配していました。その心配が現実になったのが次の記事です。

機能性表示食品「えんきん」の根拠は、お粗末すぎる 情報開示という名の責任転嫁か、機能性表示食品制度
http://www.foocom.net/column/editor/12339/

 「えんきん」の機能性表示の根拠となる臨床試験は規定通り論文となっているのですが、その信頼性は非常にお粗末だそうです。一般消費者は、論文どころか、学会発表ですら信頼できる根拠と思いがちですから、商品の売りあげに貢献しそうです。

 ところで、「チョコレートがダイエットに効果的」という研究がありました。どうも、科学ジャーナリズムの適当さを暴くための「騙し」だったようですが、そこで行われた臨床試験は本物で、いい加減とはいえ学術誌に掲載されています。これだって、機能性表示が可能になりそうです。消費者庁は騙される前にネタばらしされたホッとしているのではないでしょうか。

「チョコレートがダイエットに効果的」は嘘、甘い話に世界中が騙される
http://irorio.jp/takeiwa/20150529/233023/