変な法律

NHKだけ映らないアンテナ」 
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1503/30/news131.html

確かに,放送法第64条では「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」となっているので,受信できなければ受信料契約は結ばないで良さそうです。しかし,受信者側がアンテナの費用を負担してまでやることでしょうかね。

 町中に拡声器で音楽を垂れ流し,聞きたくない人からも聴取料を強制的にとるなんてことは通常有り得ませんね。さらに,聴取料を払いたくなければ,防音設備を設けろという要求などとんでもないことです。普通の商売では料金を支払わなければ音楽を聴いたり,受信出来ない様に事業者側がします。民間の有料放送はそうなっています。

 もっとも,NHKは通常の商売ではありません。ならば,双方合意の元に契約を締結したという通常の商売を装わずに,いっそ税金にしてしまう方が筋が通ります。受信設備の設置に拘わらずです。

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 ところで,放送法第64条2には次の規定もあります。
 
 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。

 ここで禁止しているのはNHKの意図的な免除だけと解釈すべきかも知れませんが,NHKが公共的性格を主張するのなら,視聴者側の支払い拒否を放置するのも公平性の面で問題があります。通常の受信に対して受信料を支払う契約なら,契約を解除して受信できなくする措置で対応できます。ところが,放送法は「受信機を設置した者は契約しなければならない」となっていますので,公平性を保つためには,なんとしても受信料を徴収するしかありません。これはNHKにとって非常に厳しい規定です。集金部門は税務署並に組織を拡充する必要がありそうです。現実にはNHKはそう言う努力はしていません。民間事業者なら行っているスクランブル等で受信できなくする対策すらしていません。

 実効性もなく,公平性も保てない変な法律だと思います。