ルールの階層

「詰めろ」という概念 ー ず’s 将棋
http://shogi.zukeran.org/2015/03/30/concept-of-tumero/
例えば、詰めろ・必至や手筋には普通の素人は自然に到達できるものなのでしょうか?

 リンク先のブログの主旨と同じことだと思いますが,簡単に言えば,「詰めろ」という概念になかなか達しないのは自分勝手なルールを作っているからだと思います。

 縁台将棋で良く聞く台詞に「待ち駒はズルイ」がありますが,もちろんそんなルールはありません。詰め将棋のように王手を続けなければならないというルールもありません。にもかかわらず勝手にルール並に扱うことが多々あります。先入観にとらわれているわけです。

 先入観が発生しやすいのは枠組みの階層が異なる場合です。将棋でいえば駒の動かし方は最も基本的な階層のルールです。二歩禁止や持将棋の規定になると階層が異なって来ます。そのため,縁台将棋では持将棋の規定など知らない場合が普通です。プロと縁台将棋ではルールの枠組みが違うように感じます。プロならば双方入玉,持ち駒の点数で勝つのも立派な1勝ですが,素人将棋ではそんなのは1勝に値しないという感覚がなきにしもあらずです。

 パズルを解く場合でも,自分勝手な美意識によるルールを作ってしまう場合があります。理詰めで解かなければいけないなどです。私は山勘で解くのは美意識が許さないのですが,将棋の待ちごま禁止ルールがないように山勘禁止ルールもありません。

 さらに,理詰めではあるものの少し躊躇する解き方があります。大抵のパズルは背理法で解答候補を消去していき,一つに限定されれば確定という手順を繰り返していきます。パズルのルールに抵触する解答候補を消去していくわけです。この際,パズルのルールには抵触せず,複数の回答が可能となる場合があります。解答は一つしかないとすれば,この候補も消去してよいのですが,何となくためらわれるのです。なぜかというと,パズルの出題に間違いはないという前提を使っているのですが,実際には間違いがよく有るからです。

 パズルの直接的なルールも,パズルの解答は一つに限定されるというルールも,同じルールです。にもかかわらず,直接的なルールとは階層の違うルールを使うのはためらわれます。これも先入観といえるでしょう。

 階層の異なるルールといえば,盤外戦に関するルールがあります。チェスなどでは盤外戦が制限されているそうですが,将棋にはありません。ですが,ためらう棋士もいます。一方で駆使する棋士もいます。(関連エントリー 盤外戦 http://d.hatena.ne.jp/shinzor/20150323/1427100304

 詰めろをためらうプロ棋士は存在しませんが,盤外戦となると存在します。ルールにも様々の階層があるということだと思います。