テロと犯罪の違い

 つまようじ少年が逮捕されました。おもしろ半分ではなく,少年法改正が目的だったそうです。いわば政治犯です。などとまともに取り合う人はあまりいないでしょう。なぜいないかというと,あまりに稚拙でとても目的を達せそうな行為とは思えないからです。

 本心とか動機は本人が言うしかなく,本当かどうかは分かりません。それに対して,実際の行為には嘘も本当も有りません。ですから,真偽不明の動機よりも,行為で人は評価されます。行為の評価ではその実現性つまり成算は重要です。綿密に計画された成算のある行為は,相当本気で行われたのだろうと推測出来ます。一方で,稚拙な計画では,おもしろ半分程度にしか受け取ってもらえません。

 成算のない行為では,人々をあまり不安にすることは出来ません。つまようじ少年の行為は迷惑で多少の被害が我が身に降りかかる可能性もあります。それでも,いずれ取り締まられ,人々から無視される運命にある「犯罪」に過ぎません。それに対してテロは人々の心の平穏を脅かします。なぜなら,成算があるかもしれず「馬鹿な奴だ」と余裕をもって見ることが出来なくなってくるからです。無視出来なくなります。

 取り締まる側からすれば,テロも取るに足らない「犯罪」であって欲しいはずで,犯罪者側からすれば,政治的動機と影響力のあるテロでありたいと思うのではないでしょうか。その分水嶺が何処に有るかと言えば,動機や意図よりも,「成算」にあるのではないかと思います。