諫早湾水門で対立しているのは?

有明海の漁師さんが国に抗議する理由
http://togetter.com/li/644040

 地元の有明海と国が対立しているようなまとめですけど,ちょっと違うと思います。このまとめでは長崎地裁の開門差し止め命令に触れていません。国は福岡高裁長崎地裁の判決の板挟みで身動きがとれない状態です。菅政権の時に,開門を支持し福岡高裁判決が確定したので国も表向きは開門反対という立場ではありません。その後,長崎地裁判決がでてどうにもならなくなりました。もう,農水省も手を引きたいのではないでしょうか。実態は,佐賀,福岡,熊本連合と長崎の地元同士の対立です。連合側にとって水門は全くメリットがなく,デメリットの可能性はあります。一方,長崎にとっては水門のメリットはあるのですから,まさに利害の対立です。

 環境問題の様に扱われますが,実態は利害の対立と見た方が良いでしょう。環境問題ではのり養殖の有機酸処理が他の漁業に被害を与えていたことが前々から問題になっています。タイラギ漁は大きな被害を受けているらしいのですが,それは水門が出来る以前から始まっているという調査結果もあります。一般社団法人 海苔増殖振興会のデータでは,佐賀,福岡,熊本のノリ生産量は,H11年 36.5億枚,H13年 43.7億枚,H21年 44.9億枚 で減っていません。
  http://www.nori.or.jp/work/static_info.html
 汚染問題が騒がれ出してからの調査でも豊漁になったりしています。

 有明海汚染の問題は複雑で誰が原因で誰が被害者なのかよく分からない処が有ります。困窮している被害者がいれば対策が必要ですが,海苔養殖に関しては個人的にあまり同情を感じません。それは,私には子供の頃,豪邸に済む海苔成金を見ていたひがみがあるからです。こんな偏見があるので,その分,割り引いて読んだ方が良いかも知れません。少なくとも自分で調べて判断して下さい。